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第8話
ディーンが目覚めると、もう朝だった。
隣りホレイショはいない。
ディーンはシャワーの音が聞こえるとベッドから飛び降りた。
迷わずシャワールームのドアを開ける。
「ディーン…?
どうした?」
ホレイショは慌てる様子も無く、ディーンを見つめる。
ディーンは「ホレイショの馬鹿っ!」と言うとホレイショに抱きつく。
シャワーが二人を濡らす。
「何で起こしてくれなかったんだよ!
起きたらホレイショが居なくて…俺…俺…」
「……そうか。
それは済まなかった。
ディーンが余りに良く眠っていたから起こせなくて。
それにしても」
ホレイショがクスッと笑う。
「パジャマがびしょ濡れだ。
俺はもう出るからディーンはこのままシャワーを浴びるといい」
「やだっ!」
そう言うとディーンはホレイショから離れ、パッパッとパジャマと下着を脱ぎ、裸になる。
そしてまたホレイショに抱きつく。
「おはようのキスは…?」
「ワガママ王子様、おはよう」
ホレイショが笑いながらディーンの唇にキスを落とす。
「…ん…気持ちいい…。
もっと…」
ホレイショがまたキスをする。
ディーンの口から甘い吐息が漏れる。
そしてまたホレイショはキスをすると、ディーンの耳元で囁く。
「キスが好きだなディーンは」
「…うん…ホレイショのキス、気持ちいいんだもん。
なあ俺、昨夜寝落ちしたの?」
「そうだ。
だが心配するな。
後始末は俺がしておいたよ、王子様」
ホレイショがまた唇にキスを落とし身体を離す。
「さあ、シャワーを浴びて。
俺は出るから」
「…やだっ!」
「ディーン…薬を入れたりしなきゃならないんだぞ?」
「まだ6時じゃん!」
そう言うとディーンが突然座り込んだ。
ホレイショは足の具合いが悪いのかと一瞬思ったが、そんな心配もホレイショが必死でかき集めていた理性も、次の瞬間吹っ飛んだ。
ディーンが跪き、ホレイショの雄をペロリと舐めたのだ。
「…ディーン…!?」
そして舐めるだけでは無く、吸い出す。
「…んっ…んんっ…ホレイショのおっきい…」
「…ディーン!
こら、やめなさい!」
ホレイショがディーンの頭をそっと両手で掴む。
「やぁーだ」
ディーンが上目遣いでホレイショを見ながら、悪戯が成功した子供のように笑ってウィンクをすると、ホレイショの雄の先をパクリと口に入れてチュウっと吸った。
「…ディーン…!」
ホレイショの声が掠れる。
ディーンは瞳を閉じて、吸ったり舐めたり指で扱いたりと、夢中になってフェラをしている。
美しい顔にシャワーのお湯が弾かれ、長い睫毛には水滴が溜まって照明を受け、キラキラと光っている。
ディーンのあの蠱惑的なぷっくりとした唇が開き、雄を咥え、ピンク色の舌がペロペロと茎を舐めているのを見てしまったら、ホレイショの負けだ。
ホレイショは自分から動かないように堪えるしかない。
「…ん…ふぅ、ん…ホレイショ…ああ…硬くなってる…すげぇ…んん…」
「……ディーン……」
ジュボジュボとディーンがホレイショ自身を咥え込む音がシャワールームに響く。
そうしてディーンが手で雄を扱き、舐めながら、うっとりと「ホレイショのデカくて黒い…血管こんなに浮いてる…硬い…ああ…俺、変になるぅ…」と言って自分の股を擦り合わせる。
ディーンは玉にもしゃぶりついては舌で転がす。
そしてディーンが鈴口をクリクリと舐め、「…ああん…ホレイショの美味い…」と言ったかと思うと口いっぱいにホレイショ自身を含み喉に当たるようにピストンし、口に入ら切れない部分を手で扱し出した。
ホレイショは理性が焼き切れるのを感じた。
「…ディーン…!
もっとだ…!」
ディーンがホレイショの言葉を受け、ホレイショの硬く育った太い肉棒に必死で口を上下に動かす。
勿論、指を動かすことも忘れない。
そしてホレイショに限界がやってきた。
「…ディーン…口を離せ…!
出る…!」
だがディーンは口を離さず、行為を続ける。
「…くっ…!」
ホレイショが達する。
するとディーンは白濁をコクコクと飲み込んでいる。
「ディーン!
飲まなくていい!」
まさか飲むと思っていなかったホレイショが慌てて止める。
するとディーンが口をゆっくり開く。
そして愛しげにイったホレイショの雄を舐めている。
ホレイショがゆっくりとしゃがむ。
ディーンの口からホレイショ自身が離れる。
「…は…ぁん…」
ディーンが飲みきれなかった白濁が付いた唇をぺろりと舐める。
その匂い立つような色気。
そしてディーンが自分の股間に手を持っていくのを、ホレイショが思わず止める。
「…ホレイショ…」
ディーンの甘い、ホレイショの鼓膜を蕩かす声。
ホレイショを見る、流れるような視線。
次の瞬間、ホレイショはディーンをシャワールームの床に押し倒し、ディーンの雄を口に含んでいた。
ディーンは呆気なくイった。
ホレイショが口の中でディーンの雄を転がし完勃ちにさせ、根元を扱きながら何度か強めに吸ってピストンすると「…アアッ…ホレイショ…ッ…」とホレイショの名前を呼びながら白濁を溢れさせた。
ホレイショは一滴漏らさずを飲み込んだ。
ディーンがイキ際に呼んだ自分の名前がまた下半身を刺激したが、もう時間が無かったことよりも、ディーンの治療が済むまでは、ここまでの行為をやるつもりは全く無かったのにやってしまった後悔で、性欲を抑えられた。
ディーンはボーッとしていたが、ホレイショの言うこと聞いてきちんと行動した。
ホレイショはディーンの薬の注入も事務的に終えられた。
そして8時になるとインターフォンが鳴った。
この家の通いのハウスキーパー、ジニー・スミスがやって来たのだ。
ホレイショはジニーをディーンの寝室に連れて行った。
そしてディーンに横になったままでいいからと、ジニーを紹介した。
「ディーン。
こちらはジニー・スミスさん。
うちのハウスキーパーで月水金と通ってもらっている。
時間は午前9時から午後5時まで。
今日は俺が君に紹介してから出勤したかったので、1時間早めに来てもらった。
俺は昼の薬の注入に一旦戻って来るが、この家で分からない事があれば、何でも彼に聞けばいい。
昼食も食べたいものがあれば彼にリクエストして。
彼の料理は絶品だ。
ジニー。
こちらが昨日メールしたディーンだ。
病気だから、家事よりも彼を優先してやってくれ」
「うん!分かったよ、ホレイショ!」
ジニーは背は男性としては165位と小柄だが、きちんとネクタイを締めベストを着てジャケットまで着ていて、どう見ても40代近くに見えるが、まるで小学生のようにホレイショに返事をすると、ディーンにペコリと頭を下げて言った。
「初めまして!
僕はジニー・スミスです。
これからよろしくお願いします!」
ディーンは掛け布団の影から「よろしく」とだけ言った。
ホレイショが「じゃあジニー仕事を開始してくれ。私はディーンと少し話をしてから出勤するから。ディーンは後30分は動けない」と言うと、ジニーは「分かった!」と言ってディーンの寝室から出て行った。
ディーンの寝室のドアが静かに閉まり、階段を降りて行く音が聞こえると、ホレイショは掛け布団に隠れているディーンに話しかける。
「ジニーは赤ん坊の頃脳炎を患って知的障害になったんだ。
今も8~10才程度の知能しかなく施設からバスでここに通っている。
だがジニーは一度教えたことは絶対に忘れない。
それに一度読んだものは絶対に忘れないし、一度見たものは絶対に忘れないという特殊能力の持ち主でクロスボウの名手だ。
私有地ではクロスボウを自衛の為に使うことを許可されている。
うちはセキュリティ会社にも入っているが、うちにもジニーの自衛の為のクロスボウは揃っているからディーンは何の心配もいらない。
即座に身を守るのは人間の能力だからな」
「……そんなに優秀なヤツが何でハウスキーパーやってんの?」
ディーンが掛け布団からヘイゼルグリーンの瞳を覗かせる。
ホレイショは「捕まえた」と言ってディーンの頬を両手で掴むと、ディーンの瞳にキスをする。
ディーンは「なっなんだよ、もう!俺が動けないからって卑怯だぞ!」と口では言いながら頬を赤く染め、嬉しそうだ。
ホレイショは満足そうに続きを話し出す。
「ジニーはずっと脳科学の大学教授や研究所みたいな連中から逃げ回ってたんだ。
研究と称して接しられるのが嫌なんだよ。
普通の社会人のように仕事をして対価をもらい、自立したいと願ってる。
ただ一人暮らしをすると、そういう輩はあの手この手でジニーを手に入れようとする。
だからわざと施設で暮らし、うちで働いた給料で好きなことをする。
それにジニーは家事が大好きなんだ。
理にかなってるだろ?」
「…ふうん。
パイは焼けるのかな?」
「お菓子は彼の得意分野だ。
ディーンはパイが好きだから作ってくれるように頼んでおいた」
ディーンがパッと目を輝かす。
「何のパイ!?」
「お楽しみは取っておけ。
じゃあ俺は仕事に行ってくる」
「…ん…」
ディーンが急にしょぼんとすると視線を落とす。
ホレイショがディーンの鼻先で囁く。
「おはようのキスは強請る癖に、行ってらっしゃいのキスはしてくれないのか?」
ディーンがホレイショの首に手を回し、ホレイショの唇に触れるだけのキスをする。
そしてディーンが「昼、待ってる」とはにかんだ顔で言う。
「ああ、じゃあ行ってくる」
「行ってらっしゃい!」
ディーンが照れ臭そうに言って、また掛け布団に潜った。
ホレイショがマイアミデイド署に入ると、早速トリップが話しかけてきた。
二人は立ち止まる事無く、歩きながら話す。
「ホレイショ、おはよう。
何かあったか?」
「…どういう意味だ?」
「いや雰囲気がいつもと違うからさ」
「俺は普段と変わりない。
それで?」
「そう言えば、あの彼の具合いはどうだ?
身体と記憶を含めて」
「身体の具合いは良い。
だが記憶は駄目だ。
振り回されてるよ。
俺を直ぐに馬鹿よわばりするワガママな王子様だ」
「お前を馬鹿よわばり!?
マイアミ…いやフロリダ州でもそんな強者は彼だけだろうな」
トリップがそう言って楽しそうに笑う。
「俺は彼をディーンと呼んでいる。
サンドラが供述してくれた中で、ディーンと呼ばれていた可能性が高いからな。
ジョン・ドゥでは可哀想だ。
それで肝心の話は何だ?」
「クラブ・ジョーの顧問弁護士の件だ。
ついさっき電話がきて、今お前に電話しようとしてたとこだ。
クラブ・ジョーの本物のオーナーが接触してきたそうだ。
顧問弁護士は物凄く慌ててな。
自分のオフィスの家宅捜索令状を取って直ぐに来て欲しいそうだ。
担当検事にも根回ししておくとさ」
「よし、直ぐに始めよう」
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