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第31話
ディーンはその瞬間少し白濁を散らしてしまった。
ホレイショがディーンの身体を激しく揺さぶりながら、ディーンの雄の根元を掴む。
「あ、んっ…!ホレイショ…アアッ…!すごい…っ…!」
「ディーンこそ…最高だよ…」
「…アアッ…突いて…もっとぉ…!」
ディーンが足を上げ、誘うようにホレイショの動きに合わせて腰を動かす。
ホレイショがディーンの太腿の裏に手を置き、ぐっとディーンの身体を固定すると、奥へ奥へと穿つ。
その度にディーンは「…いいっ…!ホレイショ…!」と喘ぐ。
だがディーンは数分もすると「…ヒッ…!出る…出ちゃう…!」と言ってホレイショの攻めから逃げるように身体をずらし出した。
そんな事はホレイショがディーンの太腿に置く手に体重をかけて許さない。
ガンガンと打ち付けられて、ディーンが「離して…ッ…出る…イきたい…お願い…ッ…」とすすり泣き出した。
ホレイショはハッとしてディーンの雄を見た。
ディーンの雄は根元をホレイショに掴まれてはいるが、はち切れんばからりに育ち、鈴口からは絶えず雫が滴っていた。
ホレイショは身体を折ってディーンの唇にキスをする。
そのせいでホレイショの雄がディーンの中をこれ以上無いほど圧迫し、ディーンが声にならない悲鳴を上げる。
「…ディーン…イきたいか?」
ディーンが泣きながら微かに頷く。
「かわいい俺のディーン…さあ…一緒にイこう…」
ホレイショが身体を起こし、また激しく穿ちながら、ディーンの雄を上下に扱く。
ディーンは「…アアッ…イくっ…ホレイショ…!」と言って白濁を勢い良く飛ばす。
ホレイショもその時、ディーンの中に熱い迸りを放った。
「ディーン…気持ち良いか?」
ディーンは熱い喘ぎ声を漏らすのが精一杯で、ホレイショの問いには答えられない。
何故なら後ろから太くて硬い肉棒で内壁を削られるように擦られ、奥にガンガン打ち付けられているのだから。
しかもついさっきまで、「がっついてしまってすまない」と言うホレイショに、身体中をまさぐられていたのだ。
ディーンはそんな事ちっとも気にしていないし、何なら凄く良かったのに、ホレイショはディーンを充分愛撫もせずに挿入したのを後悔しているようなのだ。
そのせいでディーンの身体は赤い跡でいっぱいだし、胸の突起も普段の綺麗なピンク色から真っ赤に腫れてぬめって光っている。
結局ディーンから「挿れて」と強請ってしまい、横抱きで散々焦らされイかされた。
勿論、ホレイショも「ディーン…!そんなに締め付けるな…」と囁きながらディーンの中で達した。
ディーンはそんな事してねぇ!と言いたかったが、くるんと身体をひっくり返され、今度はバックから貫かれているという有り様だ。
しかも一回目の後、散々ディーンの反応を確認したホレイショはディーンの感じやすい所を攻めながら穿って来る。
今も鈴口に指を引っ掛けられカリを擦られてイきそうになると、根元をぎゅっと掴まれるの繰り返しだ。
ディーンの頭は沸騰してしまったようにホレイショからの刺激を追うことしか考えられない。
身体中が敏感になって、ホレイショの指が触れる度、快感が背中から脳天に駆け抜ける。
ホレイショだってもう限界だとディーンは思うのだが、ホレイショは余裕でディーンの身体を思う様にまさぐり、イかせてくれない。
ディーンが泣き腫らした様に赤く染まった瞳で振り返りホレイショを見る。
ホレイショの雄がディーンの中でずんと質量を増す。
ディーンが嘘だろ!?と思いながら何とか言葉を口にする。
「…ホ、ホレイショ…も…死んじゃう…イかせて…イきたい…お願い…」
「…ディーン…君は何て美しいんだ…」
ホレイショが感嘆の声を上げ、ディーンの雄を解放し、尻をぐっと両手で掴まれて激しく数回突かれただけでディーンは白濁を放った。
勿論、ホレイショも同時に。
ディーンがふと目覚めると、鳥の囀る声がした。
身体を動かそうとして動かせなくて、ディーンはホレイショにがっちり抱きしめられているのを知る。
ホレイショはぐっすり眠っている。
ディーンはそう言えば昨夜は何回したんだっけ…?と思い出そうとしたが、三回目にバックでされた後は思い出せなかった。
ただあの後も続いたのは確かだ。
快感が何度も何度も波のようにやって来たのを身体が覚えている。
ディーンは何とかモゾモゾと身体を動かし、ホレイショの腕から逃れベッドを出た。
ホレイショの寝顔が少年の様だと誰が知っているのかと思うと、何となく得をした気分だ。
身体中がギシギシと痛いが、何とか窓まで辿り着く。
カーテンを細く開けてみる。
まだ淡いが眩しさを湛えた光が、朝が来た事を告げている。
その時、「ディーン」とホレイショの声がして振り返ると抱きしめられた。
「…ディーン…心配させるな」
ホレイショの焦った声にディーンがクスクス笑う。
「何を?」
「居なくなってしまったかと思うだろ?」
「どうして?」
ディーンが上目遣いで見ると、困った顔をしたホレイショがいた。
ディーンがホレイショの胸に顔を埋める。
「俺が何処に行くんだよ?
俺はずっとこの家に居て良いんだろ?」
ホレイショがディーンの髪をやさしく撫でる。
「そうだ。
そうだが君が…」
「なに?」
「いや。
喉が乾いただろう?
飲み物を持って来るから、その後一緒にシャワーを浴びよう」
やさしく囁かれて、ディーンは「うん!」と答えるとホレイショの頬にキスをした。
その日の正午マイアミデイド署前でホレイショ・ケイン警部補は記者会見を行った。
それが記者会見と呼べるならば。
何故ならケイン警部補は、「我々はテロリストとは取引をしない」と一言言っただけだったからだ。
その生中継をテレビで観ていたディーンとジニーは、顔を見合わせて笑い合った。
そしてその二時間後、『NYの息子』こと『サム・ゴードン』一味からホレイショのパソコンに『兄弟の受け渡し場所』についてメールが届いた。
ホレイショはそのメールをFBIのシュレー特別捜査官に転送した。
ホレイショにとってはもう自分とは無関係の事件だ。
それよりも早く仕事を片付けて家に帰りたい。
ディーンの待つ家に。
その時、ホレイショのデスクの上のスマホが鳴った。
スマホの向こうからトリップの焦る声がする。
『ホレイショ、殺人事件だ!
二人殺られた。
直ぐに来てくれ!』
ホレイショは立ち上がるとサングラスを掛け、オフィスを出て行く。
『日常』が戻って来たのをひしひしと感じながら。
トリップから連絡があった殺人事件は少々厄介な事件だった。
だがホレイショにとって普段と変わらない事だ。
変わった事といえば帰りが遅くなると連絡を入れる人間が増えた事。
ホレイショは夕方4時に、ディーンの携帯電話に「帰りが遅くなるから食事は先に済ませておいてくれ」と電話を掛けた。
ディーンはスマホの向こうから、「働け、働け!正義の味方の警部補!」と言って笑った。
ジニーの笑い声も聞こえる。
ホレイショは怒りと悲しみに満ちた現場にあっても、胸が暖かくなるのを感じた。
そうして何とか仕事に区切りをつけてホレイショは夜9時に帰宅した。
駐車場から玄関脇に入ると、ジニーが「おかえり!」と言って飛ぶようにやって来た。
ホレイショが眉を寄せる。
「ジニー?
どうした?
帰ったんじゃないのか?」
ジニーがキョトンとして答える。
「…だって…ホレイショがディーンを呼んだんでしょ?
捜査を手伝って欲しいって。
ディーンが、だからジニーは残っててって言ってたよ?
それにマイアミデイド署のパトカーがちゃんと迎えに来たよ?
ディーンは一緒じゃないの?」
「ディーンに電話があったのは何時だ?」
「4時と4時半!」
「パトカーが来たのは?」
「4時42分!」
ホレイショが素早く無線を掴む。
「こちらホレイショ・ケイン。
緊急事態だ。
4時42分に私の自宅に到着したパトカーを調べろ!
今、直ぐに!」
だが、ホレイショやマイアミデイド署の署員、話を聞き付けて夜中なのにCSIにやって来てくれたトリップ、カリー、デルコ、ウルフ、ナタリアの必死の捜索にも関わらず、ディーンを迎えに来たパトカーは分からなかったし、ディーンの行方も分からなかった。
しかもマイアミデイド署のパトカーの所在は全て確認され、そのパトカーは偽造ではないかと皆が確信した。
ホレイショも含めて。
そして翌日…今夜とも言える…午前0時に行われる事になっていたディーンの引渡し、即ち『サム・ゴードン』一味の逮捕が失敗した事が、ホレイショに報告が来たのは午前3時近くだった。
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