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第22話 2月15日(土) 繋がった誕生日② ※R-18
ベッドの上で抱きしめ合ってキスをする。俺も犬谷もガチガチに大きくなっていて、それが互いの腹筋に擦れて気持ちがいい。
先走りが垂れてきて腹の上でぬるぬるとさらに滑りがよくなる。その感覚に俺はハッとした。
「お、おい……犬谷」
「なんだ」
「あ、のさ。ローションとか、ゴムとか……俺、買ってねえンだけど」
確か前に調べた男同士のやり方にはそれらが必要だと書いてあった。確かに、あまりきれいなところではないし、サラダ油は食品だからだろうかなんだか罪悪感がある。
「……ある」
「え、あんの?」
犬谷はばつの悪そうな顔で俺を見ていた。
「なんだよ」
「もし、俺が我慢できなくて、鳶坂を襲った場合……少しでも痛くないようにしたかったから」
非常に物騒な犬谷の言葉にゾッとする。
犬谷は俺が最初は好きではなかったと知っていたと言っていたはずだ。それなのに、まさかがあったら俺は犬谷に襲われていたということか?
「ごめん」
「い、や……まあ、実際襲ってねえし、いいヨ」
いや、よくはない。よくはないのだが、今となっては準備されてありがたいと思うことにしよう。
仰向けになった俺の両足の間に犬谷が入り込み、自分の指にローションを垂らしていた。
「指、入れるから」
「おう……」
ローションのおかげか、自分で指を入れてみた時よりもすんなりと入っていく。大きくなった俺の前のモノもローションを垂らして犬谷の手が上下に扱くのであまり違和感はない。
ただ少し、指先が触れる部分によってはゾワリとするところがあるくらいだ。
「ん、んん……」
「痛く、ないか?」
「ヘーキ……前、きもちぃ」
「そうか。指、増やす」
ゆっくりと時間をかけて犬谷の指が増やされていく。
さすがに3本の指が入るころにはよくわからない疲労で、俺も犬谷も全身に汗が滲んでいた。
ようやく犬谷のすべての指が引き抜かれると、犬谷は俺にキスをしてきた。
さっきまでの体の緊張感が解けて舌を絡める。キスが終わると俺の口元はふたりの唾液でぐちゃぐちゃになっていた。
酸素をより多く取り込むため口で呼吸をしていると、犬谷が自分のソレにゴムを着けている。
よく見ると本当に大きい。本当にアレが入るのだろうか。
「うつ伏せ、なれるか?」
「え、後ろからすんの?」
不安になっていると犬谷が体勢の指示をしてきた。AVなんかでいう、いわゆるバックの体位のことだろうか。初めてでそれは、ハードルが高い気がする。
「後ろからのが、鳶坂が楽だと思う。男だから」
穴がついてる場所が違う、といいたいのだろうか。そういうことならと、俺は迷うことなくうつ伏せになった。
また俺の後ろの穴にローションを足し、犬谷の先端をピタリと当てた。
「力、抜いて」
「ん、ぐうぅ……っ!」
グニュ、と大きな塊がねじ込まてきた。指なんかとは比べ物にならない塊がズズ、ズズと奥へと入ってくる感覚に、じっとりとした汗が額からふき出してくる。
「痛いか?」
「楽勝、だぜ。も、入っただろ?」
背後から聞こえる犬谷の声は心配そうな声音をしている。なるべく安心させてやりたくてそう強がってはみたが、正直痛い。でももう全部収まっただろうと尋ねる。
「ああ、半分、入ってる」
こんなにギチギチだというのに半分というのは、どういうことだ。このエベレスト野郎め。
「マ、ジ? へ、山頂までは、遠いってか……ひぇっ!?」
犬谷が垂らしてきたローションの冷たさにからだが跳ねる。
「ごめん」
「へ?」
犬谷に肩を掴まれたと思ったら、そのままからだをグイと下げられた。
「う、がああっ!」
体験したことのない異物感と圧迫感と痛みに、俺は思わず悲鳴を上げた。
チカチカと、試合中えぐい接触ファウルを受けた時のように星が飛ぶ。
「テメ、この……バカ谷ィッ」
「ごめ、鳶坂……好きだ」
すべり込んできた犬谷のソレが俺の中を占領している。俺は犬みたいにどうにか口呼吸で痛みをやり過ごす。どんどんよだれが垂れてくるが仕方がない。
「鳶坂、すげ、かわいい」
犬谷はそう言いながら、俺の背中にキスをしている。
「いぬ、たに……んくっ」
「ど、した?」
「ホントは、前から、言いたかった、けど」
どうにか振り向いて犬谷の顔をジトリと睨む。
「……俺、かわいいより、かっこいいって、言われてぇ」
今言う必要性は全くなかったが、俺は冷静な判断ができなかった。ただ痛み以外の文句を言いたかったのだ。
「プハッ……」
「へ、」
今、確かに犬谷が吹き出して笑った。眉が下がって、くしゃりとした顔。
『この顔好きだ』
そう思っていると犬谷がキスをしてきた。目を閉じてそれを受け入れる。次に目を開けた時はもう犬谷の顔は普段の顔に戻っていた。
「な、動いていいぞ」
「ん、」
ずるりと中から犬谷の大きなソレが抜けていく。
「ふ、うぅ……んあっ」
抜けて入って、抜けて入って。ローションを足されまた抜き差しがはじまる。
からだが慣れたのか、痛みや異物感だけじゃない別の感覚がじわじわと湧いてくる。少し萎えていた自分のソレがまた硬くなって、犬谷の動きに合わせてシーツに擦れて気持ちいい。
「鳶坂、気持ちいいか?」
「ん、きもちい……あっ、ああっ」
後ろから耳元で聞かれ返事をすると、そのまま耳にキスされる。ちゅ、とダイレクトに届くキスの音にさらに興奮した。
「ごめん、も、イきそうだ……」
「ん、あっ、俺も、出したい……んう、ううっ」
右手で自分のソレを扱く。後ろの抜き差しの感覚と次第にリンクして気持ちよさが跳ね上がる。
「く……うっ!」
「あっ、ああっ!」
尻の中でじんわりと熱を感じた。それとほぼ同時だろうか。俺はシーツの上に白いソレを吐き出してしまった。
ずるりと後ろの穴から犬谷が抜け出ていく。俺は解放感に全体重をぐったりとベッドに預ける。シーツについた自分の吐き出したソレが腹に当たって冷たい。
「ごめん、鳶坂」
シーツを汚した俺は犬谷に謝ろうとしたが、俺より先に犬谷の方が謝ってきた。
「なんだよ」
「穴……ゴム」
カスカスになった声で尋ねると、よくわからない返答だった。
けだるい体をどうにか仰向けにすると、尻の穴からドロリと何かが垂れてくる。そして犬谷のソレにかぶさっていたゴムは、先端付近が小さく裂けていた。
手を伸ばして犬谷のソレに着いているゴムを引っ張って外す。パチンと音を立てて外れたそれをポイと床に投げ捨てる。
『なんだよ可愛いとこあんじゃん』
そう言いたかったがもう声が出なかった。
ほんの少し目が泳いでいる犬谷の首を引き寄せて一緒にベッドに横になる。ちらりと見た時計は23時を過ぎたところだった。
「犬谷、誕生日おめでと」
がんばってふり絞った声は犬谷に届いただろうか。一度瞬きをしたつもりだったのに、もう目が開かなかった。
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