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Love Memories:伝わるぬくもり6

***  サッカーボールを蹴りながら、グラウンドに向かった。肌寒くてもキャッチボールをしているヤツがいたり、サッカーしてるヤツがいたり、みんな元気そうに見えた。 「お~サッカー協会に引っ張られた、強化選手の登場だぞ! 吉川、一緒にやろうぜ?」  違うクラスのヤツが、馴れ馴れしく肩を叩いてきた。微笑みながら誘ってくれたのだが、今はそんな気分じゃない。 「悪い。そのサッカー協会に、言いつけられた練習をしてる最中なんだ。また今度な」  言いながら足首を使ったリフティングをして見せると、すげぇと声が上がる。 (こんなのちっともすごくないのに――)  周りの声を無視して黙々とリフティングに専念すると、そのうち散り散りに去って行った。 『だって明後日明々後日! 吉川は足に自信があるかもしれないけど、僕がトロくさしていて、ぶつかったらどうするんだい?』  頭の中にノリの声が流れた途端に、膝からボールが外れて地面をバウンドしながら、コロコロと遠くに向かって転がっていく。 「失敗した……」  転がったボールを手で掴み、ぎゅっと抱きしめた。そのとき、ぶわっと冷たい風が吹き抜けていき、心の中まで凍えそうなくらいに寒さを感じた。  ノリの言うとおりだ――いくら足に自信があるからといって、ぶつかるかもしれない危険性があるのに、ノリ目がけてボールを蹴るなんて、あのときの俺は何てバカなことをしたんだろう。 『きちんと劇の練習をマジメにしなきゃならないって、小林くんがわざわざ誘って、自分の時間を割いてくれてるんだよ。僕の演技がマシになったら吉川を交えて、練習したいなって考えてるのに』  ノリは俺のことを考えて、練習を頑張っていたのにな。小林が傍にいただけで、勝手にヒートアップしちまって。 「謝るタイミング……。どうしたらいいだろう?」  こういうときはアイツに頼むしかないとか、俺ってどんだけ情けないんだか。  曇り空に向かって、はーっと大きなため息をつく。ノリを見つけたときは、あんなに晴れ渡っていたのに。  吐き出した息が白い霧となって、ふわりと空に舞い上がっていった。舞い上がって消えていくそれに、自分の想いを重ねる。 「しなくていいくだらない嫉妬が、こんな風に消えてしまえばいいのにな……」  ボールを地面に置き、校舎に向けてドリブルした。  昼休みを大隅さんと過ごすであろう、淳のところに急いだ。ふたり片寄せあって、仲良くしているであろう図書室に――。

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