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Love Memories:伝わるぬくもり7

***  俺の予想通り、仲のいいふたりは図書室にいた。  がらがらっと扉を開けると、淳のヤツが意味深にニッコリと微笑んでくる。 「やーっぱり、来ると思った。あの不機嫌具合はきっと、ノリトにきつく叱られたんだよー」  図書室という場所柄、大きな声で喋れないというのに、内容がしっかりと俺の耳に届いているのは、どうしてなんだ? 「吉川さん、大丈夫ですか? 淳さんが言うように、ノリトさんに叱られちゃった?」  仲良く並んで座っているふたりの目の前に腰掛けると、気遣うように話しかけてきた大隅さん。  認めたくはないけど恥を忍んで相談に来た手前、さっきの出来事を白状するしかない。 「だってノリの傍に小林がベッタリくっついていて、仲良さそうにしてるもんだから、つい……」  頬杖をついて視線を合わせないようにし、ぼそぼそ話をしてみる。 「つい?」  何故かシンクロして同じ言葉を発するカップルに、羨ましさを通り越して、思いっきり呆れ返ってしまった。 「たまたま蹴っていたサッカーボールを、ふたりの間に向かって蹴飛ばした」 「げーっ……、それって危ないよー。間違ってノリトに当たったら、どうするのさ?」 「ノリに当たらないように、目が合ったときにジェスチャーしたから大丈夫だった」  しれっと答えると、淳が俺の頭をばこんと叩く。 「いてっ!」 「吉川は強化選手で、足に相当の自信があるかもしれないけどさー」 「分かってるって。ノリにすっげぇ怒られたから。人に向かって蹴るなんて、危ないって言われた」  机に突っ伏して、しくしくと泣くフリをした。 「私は吉川さんのそういう突飛な行動、嫌いじゃないですよ。ノリトさんのことが好きすぎて、止まらない感情をぶつけてる感じがいいなって思います」 「ダメだよ、大隅ちゃん。吉川のこと、これ以上つけ上がらせちゃ。調子に乗って、また暴走するんだからさー。それで、ここに来た理由は何?」  その言葉にちょっとだけ顔を上げて、淳をじっと見つめた。 「……どうやって、仲直りしたらいいと思う?」 (――ノリのヤツ、すっげぇ怒ってた。謝ろうと思って俺が近づいたら、途端にムッとして逃げちゃうと思われる) 「吉川は小林対策、きちんとしてるー?」  俺の質問を無視して、変な質問で返してきた。淳のヤツ、俺とノリを仲直りさせたくないのか!? 「小林対策って何だよ?」 「言ってあったでしょ、劇の中で真剣勝負をするって。素振りくらい、練習してるのかって聞いてるんだけど」 「やってない……」  素直に答えると大隅さんと目を合わせて、あ~あと呟く。 「昨日劇で使うからって、竹刀を借りに剣道部に行ったんです。そしたらそこに小林くんがいて、素振りの練習をしてました」 「小林エンドを実現させる気、満々だったよー。ノリトが見事とられちゃうかもね」  淳の言葉に上げていた顔を下ろし、情けない顔を見せないように、机に突っ伏して隠した。  ノリが小林にとられるかもしれない――!? 「とられたくなかったら、練習する気ある吉川?」 「……ある」  そうだよ、ノリのヤツは小林との台本を読んでないと言っていた。俺がアイツに勝って、ハッピーエンドになると信じてくれているから。 「だったら、そんな風にふて腐れてないで、これから昼休みは屋上で練習するといいよ。竹刀を貸してあげるからさー。セリフはバッチリ覚えてるんでしょ?」 「ああ。ほぼ覚えた」 「だったら、集中して練習できるねー。そこに愛しのノリトを送ってあげるから」 「え――!?」  バッと勢いよく顔を上げたら、慌てた俺とニヤニヤした淳を見比べる大隅さん。 「淳さんってば、それじゃあ吉川さんが練習に集中できないんじゃないですか?」 「だーってそれくらいのハンデ、小林にあげなきゃ可哀想でしょ。余裕綽々の吉川の顔、すっごくさいてー」  言いながらあっかんべーまでする、意地の悪い親友。 「淳……。ありがとな」 「送り出すまではしてあげるけど、そこからは自分でやってよー。劇の運営にも支障をきたすんだから!」  肩を竦めてキツイ口調で言ったけど、目元は笑っている。 「分かってる。仲直りちゃんとするから、安心してくれ」  俺の言葉に、大隅さんが柔らかく微笑んでくれた。早く仲直りして、ノリの笑顔が見たい――ふたりが俺に向けてくれた笑顔を見て、強く思ったのだった。

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