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第8話(帝国ホテル編)

――永遠にずっと――  彼の弱点を突いた事で、内壁が微弱な伸縮を始めた。内部へ内部へと誘っている様な動きが強く成った。  そこで、理性が弾けとんだ。  彼の脚を大きく広げさせて、思いの丈を、彼の生きている絹のような内部を力強く蹂躙する。  その動きに呼応して彼の若木を思わせる脚が腰に絡みつく。背中に立てられた爪の力が一層強く成った。 「あ、あきひこ……もっと……」  いつもよりやや甲高い声に触発されて更に奥へと楔を打ち込む。情欲に濡れた片桐の声。動きに合わせて彼の身体からは彼のものとも自分のものともつかない汗が飛び散った。  背中から彼の力が消える。最後の理性を集めたのだろうか、両手で顔を覆う。 「あ、もう……」  彼の身体が一番大きな痙攣を起こした様だったが、自分にも見極めている余裕は無かった。一際大きな鞭撻を加えると彼は手を顔から離し、縋る物を求めて震える手を伸ばした。  彼の両手が首に回された。片桐の全身は小刻みな痙攣を繰り返し、絶頂が近い事を示している。  自分もそろそろ限界だった。 「もう……俺も……そろそろ限界だ」  片桐は上気した頬を染めて頷いた。 「あ、極めるなら……一緒、が……」 「分かった。しっかりと捕まって」  頬を染め、眉を顰めた片桐の顔はいつも以上に綺麗だった。滴る汗が紅潮している皮膚のせいで紅玉を溶かしたように見える。呼吸が速いせいでひっきりなしに呼吸音とも喘ぎ声ともつかない声を漏らしている。  その乱れた様子は欲情を否が応でも刺激する。  大きく突き上げると、片桐は声を出さないようにしたのだろうか、それとも無意識だったのだろうか、手に力を込めて首を引き寄せると右肩を噛んだ。その痛みも感じる暇も無く彼の内部に情欲の証を注ぎ込んだ。  彼の背中が大きくしなった。彼も白い露を零していた。  脱力して、彼の身体に全体重を掛けない様に気をつけて倒れ込んだ。  片桐の両手が優しく背中を撫でてくれるのを感じながら不意に睡魔に襲われた。  不思議な感覚で眼が覚めた。硬さも寝台の物ではない上に妙に身体が浮いている様な感覚。それでいて懐かしさを覚える体温と自分の髪を梳く手……。  完全に覚醒すると、ごく近くに最愛の彼の端整な顔が微笑んで居た。しかも、自分の身体の下でだった。 「起きたのか」  幾分掠れた声で片桐が言った。あろう事か、行為が終ると直ぐに寝てしまっていたらしい。 「すまない。重かっただろう」  髪を梳く手を休めずに何でも無い声で片桐は言った。 「いや、重くは無かった。人の重みと体温は気持ちが良い事を発見出来た。それにオレも少し眠ってしまったし」  目映く微笑む片桐の表情に嘘を吐いている気配は無かった。

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