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第21話(蜜月編)
何時にも増して扇情的な姿を露わにして居る。
彼の最も感じる場所を指で強く押すと、ねだるように白い肢体を押している指に差し出す様に揺れる。
「…もっと…」
彼が望んでいる事は分かって居たが、言葉にして聞きたかった。先ほどの英国人への対抗心だろろうか…。手早く自分も衣服を脱いだ。
「もっと…何だ…」
耳を舐めながら熱い囁きを流し込むと彼の身体が可憐に痙攣した。秘められた場所も連動して動きを増す。指に当る彼の内壁がしっとりと巻き付き、指が出て行かない様に押し留めて呉れるのも嬉しかった。
「…指を…増やして欲しい」
肩に置かれた指も震えて居る。顔を見ると、潤んだ瞳から涙の雫が今にも落ちそうに盛り上がって居た。涙をそっと唇で吸い取る。自分の顔がどんな様子か察したに違いない。片桐は、片手で顔を覆った。
彼の要望通り、指を二本に増やす。彼の中は天国に居るかの様だ。絹の手触りが熱く絡み付いて来る。根気良く彼の内部の感じる所を探す。最も感じる箇所は分かって居たのでそこを重点的に愛撫し、他にも感じる所は無いかを探す。
最も感じる箇所を指二本で愛撫すると、彼の背中が反り返り、浴室のタイルに当りそうになった。慌ててもう片方の手で支える。片桐の顔に回った手が声を立てない様にと親指を噛んでいる事に気付いた。
一旦、彼の内部から指を抜き、抱き締め直した。
「俺の身体に掴まって居ろ」
片桐は身体に力が入らない様だったが、震える両腕で背中に縋りついた。それを見極めると、指を三本に増やす。
三本をばらばらに動かしていると、彼の呼吸音が一際せわしくなった。縋りついた腕も時折外れそうになる。密着させた腰からはお互いが高揚して居る事も分かって居た。普段なら、そろそろ自分自身を彼の絹の様な内部に収め埒を明けたい所だが、今日は焦らす気持ちの方が勝った。――彼が自分で言わない限り、最後までしたくない――そんな駄々っ子めいた気持ちを抑えられなかった。
彼の内部は待ちきれないように収縮を繰り返し、そこだけで息をしているかの様だった。
片桐は、一旦肩に頭を預けしきりに首を振って居た。彼の細い髪が首筋に当って快感を増幅させる。そして、少し休憩してからだろうか、唇を合わせて来た。触れるだけの接吻をし、唇を僅かに離すと湿った吐息と共に細い声で囁いた。
「……あ、晃彦を…感じたい」
その言葉に背筋が震えた。彼が脱力しきっているので立ったままは無理だと判断した。バスタブに湯を張りながら、彼をそっと導いた。バスタブの中に座り、彼を上に誘導する。上になるのは初めてなので彼は刹那、戸惑った表情を見せたが、その表情ですら壮絶に色っぽい。
「そっと…腰を下に…。出来るか」
耳元で囁くと、返事の変わりに口付けが返された。
彼の腰がゆっくり落とされ、彼の熱い内部に入って行く。感じ切っている彼の内部は何時もより熱く、そしていつもより執拗に絡み付いて来た。
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