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第24話(蜜月編)

――ああ、昨夜はベッドでも愛し合って彼が先に眠って仕舞ったのだな――  室温は快適だったので、腕枕をしていない方の手でシーツをそっと外す。昨日の目的が達成されたかどうかを知りたかった。  全裸の彼の見えて居る部分を確かめ、会心の笑みを漏らす。  昨日、ベッドに上がってから彼の身体の至る所に唇で痕を残した。彼が身体を痙攣させた箇所は特に念入りに…幾分色白の彼の肢体に紅い情痕があまた残って居た。 ――この分だと大丈夫だろう、きっと彼の腰の辺りには沢山の花びらが残っている筈だ――  シーツを剥ぎ取られたからだろうか、彼の肢体が温もりを求める様に自分の方に寄って来た。眠っているので無意識の動作なのだろうが、それでも嬉しい出来事だ。体温を分け与える様にしっかりと抱き締める。  オブライエンが触っていた腰の辺りは、自分の唇で所有の証を刻み付けた。彼の心と身体を自分の物にしていると言うのに、嫉妬心が消えないのは自分でもどうかと思うが、触れ合って居ないと安心出来ない。  片桐も嫉妬して呉れた様だが、独占欲は自分の方が強いと思った。特にオブライエンは男性だ。片桐は別に気にして居ない様だが、相手が男性と言う事も手伝って妙に不安になる。  多分一晩中腕枕をしていたせいか、腕が痺れていたが、彼の顔を目覚めた時に至近距離で見詰められる代償に比べれば全く問題は無い。  柱時計に目を遣ると、そろそろ朝食の時間だった。もう少し彼の寝顔を見て居たかったが、昨夜の何回かは数え切れない情交のせいで空腹は感じた。きっとそれは彼も同じだろうと思い、そっと口付けた。無意識の動作なのだろうか、彼も応えて呉れる。 ――まずい…――  朝から彼の扇情的な姿を見ると見境無く押し倒してしまいそうだ。しかし、昨日の交情は自分よりも彼に負担が掛かっている筈だ。ここは我慢して引くべきだとなけなしの理性が押し留める。 「そろそろ、起きた方が良い」  耳元に囁き、腕枕を解く。彼は目を覚まし、ぼうっとした顔をしていたが現状を把握したのだろう、素直に頷いた。彼の方から口付けをして来た。  昨夜は眠りに落ちる前に、先に失神するように眠ってしまった彼の身体を温かいタオルで清めた記憶が有る。  片桐は身体を起こし、少し顔を顰めた。彼の内部を傷付けたのだろうか…と思ったが、彼の顔は苦痛ではなく、快感めいたものを浮かべて居る。周囲を見渡し、バウロウブが無い事に気付くと、全裸の肢体をシーツに包む。凝視していると、羞恥に顔を赤らめて彼は言った。 「見るなよ」  そんな事を言われると見たくなるのが人情だ。 「分かった…見ない」  そう言って、視線の隅で彼を見ていた。  全裸の彼がシーツを巻きつける彼の、昨日自分が欲望を解放した場所から白く濁った液体が滴っているのがちらりと見えた。その様がひどく淫らで劣情を刺激する。  後ろから抱き付いて、シーツを無理やり外した。白い液体は止め処なく溢れて来る様だった。

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