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十、小糠雨(こぬかあめ) 五
「どれがいい?」
「ひ、ひどい」
選択技に初心者への優しさが感じられない。
「じゃあやめる?」
いつの間にか、主導権を握れて生き生きしている喜一くんに着物を全てはぎ取られた。
「べちょべちょになるから、下着も脱がせて」
「っ。煽ったのは氷雨さんだからな!」
念を押されるように割れたので、もう俺は観念して何度も頷いた。
どちらにせよ、脱がされている時、濡れていたので無意味だと分かった。
「んぁっ」
大きくて熱い手で握られて、溢れる蜜が卑猥な音を立てる中、俺は喜一くんの首にしがみついた。
恥ずかしい。
恥ずかしいのに。
喜一くんが俺の身体で興奮して余裕がなくなっていくのが可愛かった。
怖いより、羞恥心より、好奇心。
なんて言えば失礼だ。でも怖いだけじゃない快楽を俺はもう知ってしまっていたんだ。
「喜一くん、きつくない?」
「すっげきつい」
視線を下ろせば、喜一くんの下半身もスボンの上からでも分かるぐらい主張して硬くなっていた。
「さ、触ろうか?」
気になってしまった俺が尋ねると、大きく息を飲むのが分かった。
「俺としては此処に入れさせてほしい」
「ひゃぇっ うそ」
後ろに伸ばされた手が、後ろの襞をなぞるので背中が大きくしなった。
前から垂れる蜜を指に絡めて濡らしてから、指が一つ、ツプンと入る。
「やっやだっ」
途端に怖くなって頭を振ると、指は抜けた。
優しく髪を撫でられ、足を開かされ 彼が視界から消える。
そして彼の髪がお腹やお臍に触れながら――入ってきたのは舌だった。
(!?!?!?!?!?)
舌って、き、汚くないのかな?
嫌じゃないのかな? お腹壊さないの?
驚いて呆然としていたら萎えていた前がまた頭を持ち上げ出した。
舌が奥へ奥へと侵入するのに身体が震えてしまう。
「も、ぁやっ は、はずかしっ」
「やばい。涙交じりの声――クる」
音を立てて離れた舌。
そのせいでひくつく自分に消えてしまいたくなるほど羞恥が浮かぶ。
俺の上でスーツを脱ぐ喜一君が艶めかしくて、息が止まるほど格好良かった。
この人は俺には勿体ないほど、良い男なのかもしれない。
でも。
ベルトを外しズボンを下ろし、下着が下りた瞬間に見えたそれは、俺の比ではない。
もはや凶器だった。
「じゅ、銃刀法違反だ!」
「そんなに? まあ奥まで当たって気持ちがいいのは間違いねえよ」
耳元で甘く囁き、にやりと喜一くんは笑うが、冗談では済まされない。
――怖い。
近くにあった着物で身体を隠すけれど、すぐに剥がされ思いっきり遠くへ投げ飛ばされてしまった。
「大丈夫。任せて」
俺の前から垂れる蜜を手に刷り込ませると、再び指が後ろへと伸びた。
そして広げるように指が侵入してくる。
ピリピリとした痛みを感じ眉をゆがませたら、再び舌が入ってきた。
自分の開いた足の真ん中に喜一くんの頭が見える。
……こ、この格好ってすっごく恥ずかしくないか?
でも。でも。
「き、喜一くん」
顔を上げた喜一君が、俺を見た。
ふるふると首を振って、後ずさった。広げた足は震えていた。
思うように動けない俺は、もう半分パニックになっていたと思う。
すると、喜一くんが突然俺の足をパタンと閉じると、太腿を帯でぎゅうぎゅうに縛り付けた。
「いっいたっ」
「我慢して。怖くも痛くもしねえから。早急すぎた。アンタ、初心者なのに」
縛った太腿の間に、喜一くんは凶器と呼びたいぐらい大きな芯を突き刺した。
熱くてぬるぬるして驚いたけれど、なんか、まるで侵入されたような感触に恥ずかしくなる。
「こ、これ、何?」
「素股みたいなもんかな」
きつく縛られた太腿の間に、何度も何度も喜一くんの熱が出入りして、その感触になんだか声が漏れてしまう。
ぱちゅんと濡れた音がするので、思わず耳を塞いで目を閉じたら目蓋に唇が降りてきた。
「――そんな可愛い反応すんの、反則だから」
「こ、これ、変」
「本当に入れたらこんなもんじゃすまねえよ」
ひいい。思わず本当に悲鳴をあげようかと思った。
けれど、熱く荒い喜一くんの声を聞いていたら――なんだか本当に抱かれている気分になって、自分でもおかしくなる。
「ぁっ」
この熱を、この重量を、この気持ちを、花びらを受け止めるように優しく受け入れる。
そんな事が出来るようになるのだろうか。
「氷雨さん、好きです。絶対にもう離しませんから」
「ひゃ、んんんっ」
返事も待たずに、彼の腕の中、閉じ込められる。
今、俺の花がちらちらと散ろうとしている。
全て散るまでもう、時間もないだろう。
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