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花、散る、檻の中。 三
でも濡れて響く音は俺の頭の芯をふにゃふにゃにさせた。
「ふぁっんんんっ」
自分でもどうやって声を押さえていいのか分からない。甘い声が漏れる度に、喜一くんの指が反応を楽しむように奥へ侵入してくる。
何度も何度も指で身体をしならせ、形が彼の指に形成された頃、指が抜かれた。
ズボンのファスナーを下げる音、絹擦れ、甘い香り、荒い息、全身を支配する硬くて熱くなった高ぶり。
大きく足を左右に割られ、彼の体重が全身に落ちてくる。
「氷雨さん、――力抜いてね」
優しい甘い声の後に、耳を舐められて力が抜けた。ふにゃんとなった俺に、彼は熱い凶器を突き刺した。
「――っ!」
声にならない、想像以上の質量に、身体が半分に割れた気がした。燃えるような痛みに歯を食いしばる。
強張る俺の胸の尖りを舌で苛める喜一くんのせいで、力は抜けて奥へ奥へと入っていく。
彼は、こんな風に真っ直ぐだった。
いつも、いつも真っ直ぐだった。おれが傷つかないように他の部分を弄って蕩けさせてくれるけど、彼の新だけは揺るがない。
この歳で、馬鹿みたいにメンタルが弱いけれど、大人は上手に嘘を吐き、自分の都合の良い世界を作り上げているけれど、彼は違う。
俺の為に、こんな甘い檻を用意してくれたのだから。
「っあっ」
彼が俺の中を動くたびに、呑み込まれそうになった。
必死で彼の背中に縋った。
何度も何度も擦りつけられる痛みは、甘美で、癖になる墨の匂いよりも俺を中毒にさせる。
「ふう。やっと半分入った」
「はん!?」
受け入れた異物の大きさに驚愕していた俺に、さらに追い打ちをかける。
「氷雨さん、好きです。――どうかずっと俺の中に囚われて」
「ぁっ、嘘、お、大きっ」
俺の中で更に大きくなるそれに目を見開き驚いたけれど、目の前の喜一くんの顔が、淡い月明かりの下、汗で濡れて息を飲むほどに美しくて全て許せた。
俺だって、こんな年下でこんなに一途で、こんなに情熱的な恋人を抱きしめられる。
その喜びに、身体が甘く痺れていく。
「好き、です。喜一くん……」
唇に触れるだけのキスをし、おずおずと胸の顔を擦り寄せた。
すると、大きく腰を持ち上げられて、おれは自分でも知らなかった身体の奥へ、喜一くんを侵入させると、身体を揺らした。
花が、散る。甘い香りを漂わせながら、好きな人の手のひらにふわりと落ちていくように、ただ、君だけを思う。
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