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第7話
そこからは怒涛の日々だった。
初めて見るダンスや歌を覚えるのに加え、プロモーションビデオやメディアへの出演、慣れない宿舎での生活に疲れ、毎日宿舎に帰って倒れこむように寝る。
それでも焦る気持ちを抑えて、練習を続けるだけだった。
時計を見ると23時を回ろうとしていた。今日はこれぐらいにしようと思って自動販売機に向かうと、見覚えのある姿がそこにあった。
「隼人」
うずくまっていた隼人は少し顔を上げて、またすぐに下げた。
少し目が赤い気がした。
「、、お疲れ、なんかあったのか」
「はは、よく見てますね」
沈黙に耐えかねて、俺はミネラルウォーターを二本買って手渡した。
「、、、眼鏡の、トレーナーの先生いるじゃないすか、今日その人の指導で、怒られて」
「ああ、、、ちょっとこわもてだよな」
「俺、本気で来たのに、何やってるんだろう、」
こういう時なんて言えばいいのかわからなかった。
「でも俺は、お前を初めて見た時びっくりしたよ、こんなかっこいいやつがいるのか!って」
「お世辞はいいですって」
「いや本当だって」
「ははっ、、、でも、ありがとうございます、なんか元気でました」
「俺も頑張るから、お前も頑張れよ」
「はい、一緒にデビューしましょう」
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