7 / 8

第7話

そこからは怒涛の日々だった。 初めて見るダンスや歌を覚えるのに加え、プロモーションビデオやメディアへの出演、慣れない宿舎での生活に疲れ、毎日宿舎に帰って倒れこむように寝る。 それでも焦る気持ちを抑えて、練習を続けるだけだった。 時計を見ると23時を回ろうとしていた。今日はこれぐらいにしようと思って自動販売機に向かうと、見覚えのある姿がそこにあった。 「隼人」 うずくまっていた隼人は少し顔を上げて、またすぐに下げた。 少し目が赤い気がした。 「、、お疲れ、なんかあったのか」 「はは、よく見てますね」 沈黙に耐えかねて、俺はミネラルウォーターを二本買って手渡した。 「、、、眼鏡の、トレーナーの先生いるじゃないすか、今日その人の指導で、怒られて」 「ああ、、、ちょっとこわもてだよな」 「俺、本気で来たのに、何やってるんだろう、」 こういう時なんて言えばいいのかわからなかった。 「でも俺は、お前を初めて見た時びっくりしたよ、こんなかっこいいやつがいるのか!って」 「お世辞はいいですって」 「いや本当だって」 「ははっ、、、でも、ありがとうございます、なんか元気でました」 「俺も頑張るから、お前も頑張れよ」 「はい、一緒にデビューしましょう」

ともだちにシェアしよう!