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「……そう言えば久しぶりですよね。課長とちゃんと愛し合うの」 「そうだっけ?」  逢坂課長は俺の胸にすっぽりと納まり、その場所に頬を擦り寄せて来る。その手が悪戯っ子のように、つんと俺が穿()いているジーンズの前方を(つつ)く。 「そうですよ。砂川の時にしてもお仕置きだったでしょう? 最近、仕事も忙しいし」 「そうだったねー。じゃあ、今夜はちゃんと愛してくれる?」  課長は悪びれる風もなく、眼鏡を外して小悪魔的な笑顔を見せた。  私服の逢坂課長。晴香ちゃんの見立てだろうか、今日のファッションはお洒落な紳士のカジュアルだ。ジーンズもお洒落で若ぶることもなく、アラフォーの課長によく似合っている。  俺はストライプのシャツのボタンに手を掛けて、上から順番に外して行った。 「ねっ、キスして?」  俺の返事を待たずに、俺の唇に重なる課長の唇。俺は、その柔らかな感触を楽しみながら課長の小さな身体(からだ)をきつく抱き締めた。  甘く絡まり合うお互いの舌。それはまるでお互いを求め合うかのように、お互いの口内を行き来する。課長は俺をベッドに押し倒し(こんな時だけは力があるんだよなあ)、俺のベルトに手を掛けた。  それを器用に右手でするりと抜き取り、ジーンズのボタンも外してしまう。ファスナーをゆっくりと下げ、下着の中に小さな手が侵入して来た。  きゆっと握られる俺のモノ。そこは既に()ち上がっていて、課長は嬉しそうに弄り始める。 「……んっ、はっ……、ん」  俺の上で俺にしがみついている課長。(はだ)けて妖しく乱れるストライプのシャツ。目の前に現れたピンクの突起をゆっくりと口に含んだ。  穏やかな前戯。こんなに穏やかな二人の時間は何日振りだろう?  半年の記念に感謝しつつ、俺達は久しぶりの甘い夜に溺れて行った。

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