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第499話 Spectrum(19)
「みんなはさ、おまえのこと、クールで無愛想な奴だと思ってて。」和樹は急にそんな話を始めた。
「なんの話。」涼矢は高まりつつある快感に水を差され、少し不機嫌だ。
「乳首いじられてアンアン言ってるとは思ってねえよなぁって。俺だけ知ってると思うと昂奮する。」和樹は涼矢の乳首をわざと強めに吸う。
「るせ、おまえこそだろ。」再び息を荒くしながらも涼矢は言い返した。
「そうだね。」和樹は手にローションを取り、涼矢と自分のペニス、両方に注いだ。涼矢にまたがったまま、2本一緒にこすりはじめる。――俺たちがこんなことしてるって、誰も知らない。この、今俺の手の中で硬くなっていくモノに前立腺を刺激されて、奥を突かれたらどんなに気持ちいいか、俺しか知らない。「おっきくなってきた。」やがて和樹は涼矢のペニスだけをしごきだす。涼矢は枕をつかんで、必死の顔で耐えている。「声、出せば?」
そう言われても、ふ、と小さく息を吐くだけの涼矢だった。だが、顔は紅潮しているし、目は潤んでいる。
「気持ちいい?」和樹は聞くまでもない質問をする。
「ん。」
「挿れたい?」和樹は腰を浮かせて、自分でそこをほぐしてみせる。涼矢に見られているのは、分かっている。と言うより、意図的な挑発だ。
「何してんの、それ。」涼矢の声がうわずる。
「分かんない?」和樹は涼矢を見降ろして更に煽る。
涼矢は右手で自分のペニスを固定するように握り、左手では和樹の腰を引き寄せて、今、和樹自身がほぐしていたそこに自分のペニスに当てようとした。
「だめ、ちゃんと言って。」和樹は腰にある涼矢の手を払いのけた。「挿れたい?」もう一度質問を繰り返す。
涼矢は無言で勢いよく上半身を起こした。その反動で和樹が後ろに倒れないよう、すかさず背中を支える。「意地悪しないでよ。」和樹のアナルにペニスを押しあてる。「ここ、来て。」
和樹は涼矢と目を合わせたまま、腰を落としていく。入ってすぐに、「んっ。」と少し体を反らせるが、すぐに涼矢の首に両腕をからめて、抱きつくようにして更に深く。「あ……あっ……。」
「動いていい?」
「まだ。」一番奥まで届くように、腰を沈める。「全部入った。」にっこり笑って涼矢を見つめ、キスをする。深く繋がったところはそのままに、何度もキスをした。
「和樹、動いて?」
「ん。」和樹がゆっくりと動き出す。涼矢にからめていた手を外し、ベッドに手をつき、体をのけぞらせるようにして、動く。自分の腰で当たりどころを調節する。その様が涼矢を煽ってやまない。「あっ、いっ……あっ……あんっ……。」次第に早めていく。やがてこらえきれずに涼矢も突きあげはじめた。双方の動きで、より激しくこすれあう。
「かず、ちょっ、まっ。」先に音を上げたのは涼矢だった。
「まだだめ、イッたらだめ。」
「だから、もすこし、ゆっくり。」涼矢は息を荒くする。
「やだ。」和樹がまた涼矢にしがみつく。「ゆっくりやだ。もっと突いて。」耳元でそんなことを囁いた。
その言葉は効果的過ぎた。涼矢は我慢しきれずに射精した。「……馬鹿、煽るから。」
「えぇ……。」テンションの下がる和樹に涼矢はキスをする。
「……けど、このまま、イケるかも。」
「え。」
「なんか言って。おまえの声聞いたらもう1回イケる気がする。」
「入ったまんまだよ?」
「ん、このまま。」
「俺ん中で、復活する?」
「かも。」
「そんなに気持ちい?」
「ん。」
「どんな感じ?」
「あったかくて、とろけそう。」
「俺も。おまえの当たると、すげえいい。」和樹が再び、少しずつ動き出す。「おまえのね、カリんとこがね、中で、ひっかかるみたいなの、すげえ好き。」
「やらし。」
「ん。」和樹が涼矢の耳たぶを甘噛みする。「前立腺とこ、あ、今、の、ここも好き。」
涼矢の返事は言葉にならない。ただ荒い息だけだ。
「硬くなってきた。」和樹がニヤリと笑う。「硬いので、奥、突かれるの、一番好き。」
「動くよ。」
「うん。」
涼矢は和樹を押し倒し、片足を自分の肩に乗せる。そうして開かせた和樹の内側を、深い角度で貫いた。
「ああっ。」和樹が喘ぐ。「あ、いい……もっと、来て。」
涼矢の動きが激しくなる。それと同時に和樹の喘ぐ声も激しくなる。「あっ、涼、いい、あんっ、あっ……。」
今度こそ、一緒に。涼矢は和樹のタイミングを計りながら、何度も突いた。和樹の熱い内壁は、それに答えるようにうねり、からみつく。いつの間にか2人とも汗だくだった。
「りょ……んっ、ああっ、あ、イク、イクッ。」
和樹の足先までピンと張りつめる。苦悶に似た表情を浮かべるが、これは絶頂寸前の和樹の顔だ。涼矢は少し速度を緩めて、突き上げる角度を変える。違うポイントを刺激されて、和樹がひときわ大きく喘いだ。涼矢もそれと同時に二度目の絶頂を迎えた。和樹の全身からスッと力が抜け、まぶたも閉じた。意識を飛ばしたのかと思ったが、しばらくすると目を開けて、手を伸ばし涼矢の頬に触れてきた。
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