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第747話 Endless Summer (5)
やがて2人はシックスナインの体勢になって、和樹は涼矢のペニスを口に含み、涼矢は和樹のアナルを舐めた。
「んんっ、んっ……!」和樹はフェラチオをしながらも呻き声を出す。それも段々と我慢できなくなって、ついにペニスから口を外した。背中をのけぞらせて、快感に身を委ねる。「あっ、涼矢、も、やめっ。」
涼矢は両手でそこを押し広げ、尖らせた舌先で刺激する。
「い、いい、から、もう。」和樹が体をよじって涼矢を振り向いた。「こっち、欲しい。」そう言う和樹の指は、涼矢の硬くなったペニスを握っている。
「じゃあ、お楽しみのそれ、つけてみる?」
「ああ。」和樹はさっき開封しそうになったコンドームを探す。箱はあるが、ひとつだけ先に取り出したはずだ。だが、2人してベッドの上を散々動き回っているうちに、どこかに行ってしまったらしい。仕方なく箱から新しいのを出した。それを涼矢のペニスにはめながら、「ふふ。」と笑う。
「何、笑ったりして。」
「俺、女性側。」卑屈に言うでもなく、むしろ得意気な顔で、和樹は涼矢の体の上で半回転した。騎乗位になって涼矢の顔を見下ろし「挿れていい?」と言う。
「いいよ、センセ。」
「その言い方、やめろ。」そう言いながら、ゆっくりと腰を落としていく。「あっ、あっ、あっ……んっ。」
涼矢が和樹のペニスを握る。
「だめ、触んな。」
「ガチガチで苦しそう。」
和樹はニヤリと笑う。「だからだめ。すぐ終わっちゃう。」そう言ったかと思うと、急に眉根を寄せて、のけぞる。「あっ、ばか、おまえ、中ででっかくすんな。」
「しょうがないだろ。絶景なんだから。」
下から見上げる、ひきしまった和樹の身体。涼矢の目にはそれが神々しいほど美しいものに見えた。それでいて、甘く蕩けたような、しまりなく上気した顔。そのギャップを見れば昂奮するのは当たり前だろう、と思う。
「動いて。」和樹は自分でも腰を揺らしているが、涼矢にもそう求めた。涼矢は言うなりになって、下から突き上げる。「ひ、あっ……! い、いい、気持ちいい、涼矢ぁ……。」涼矢は和樹の両手首をガッチリとつかむ。それを支えにして、和樹はより激しく自分から動いた。「ん、あっ、そこ、やだ、あ、もう。」
涼矢はいきなり和樹の手首を自分のほうにひっぱって、それを反動にして上半身を起こした。自然と対面座位になる。「和樹。」と言いながら、和樹の頬を撫でた。
「馬鹿、動けよ、今イキそうにな……ひ、あ、馬鹿、あ、やっ……。」文句をつけている途中で、また突き上げられて、和樹は必死で涼矢にしがみつき、絶え間なく押し寄せてくる快感に溺れた。
「好き。」涼矢は和樹にキスをする。
「ん、俺も、好き……!」
「気持ちいい?」
「きもひ、い……あ、も、だめ、は……あっ……んんっ。」涼矢は繋がったまま、丁寧に和樹を押したおした。正常位に落ち着くと、また前後に動く。和樹が腰をくねらせてそれを歓迎しているのが分かると、更に激しく。それと比例して和樹の喘ぎも激しくなる。
どっちが限界になってもおかしくないところまで高まり、涼矢が和樹の耳元で言う。「イキそ。イッてい?」
「うん、俺も、イク、あ、待って、あっ、出そ、あ、イク、涼っ。」和樹は涼矢の背中の手に力を込めた。
事後の処理を終えた涼矢は、和樹に並んで横たわる。「ねえ。」
「ん?」気の抜けた声で和樹が返事をした。
「腕枕、していい?」
「ああ、はい、どうぞ。」和樹が腕を出す。
「違う、逆。俺が枕。」
「え、いいけど。」和樹が首から上を浮かせたので、そこに涼矢が腕を差し入れた。「なんで腕枕なんか。」
「なんとなく。」そう答えながらも、枕にした腕を早速折り曲げて、和樹の頭を抱くようにする。結局は両手で和樹をぎゅうと抱きしめた。
「苦しいよ。」とは言うものの、和樹も満更でもなさそうだ。だが、腰骨あたりに当たるものに気付く。「おまえ、今したばっかで、なんでこんななってんだよっ。」
「もう1回、だめ?」
「メシ作るんじゃねえのかよ。」
「和樹が先にやりたいって言ったんだろ。責任取れよ。」
「セックスは責任感とか義務感でやるもんじゃないし。」
「えー。」
「で、おまえはどっちなの。責任感?」
「んなわけないだろ。」
「俺ともっかい、したいの?」
「1回と言わずしたいけど。和樹とだったら、何回でも。」
「ふは。」和樹は笑って、それから涼矢を抱き返した。「そんならいいや。しよ?」
「ん。」涼矢は和樹のこめかみにキスをした。
結局更に追加でもう1ラウンドこなし終えた和樹は、ぐったりと横たわる。「もう何にも出ねえわ。」と呟いた。
「あ。」と涼矢が声を上げる。和樹に布団を掛けてやろうとして、何かが落ちたからだ。「あった。」
「ん?」和樹は視線だけを動かして、涼矢を見る。それから、その手の先を。涼矢が手にしていたのは、さっき和樹が探していた、最初のコンドームだ。「ああ、それ。どうだった? 違った?」
「おまえにも着けてやったろ、2回目と3回目。」
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