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第51話 GINGER ALE(28)

「テレビ見てたかなぁ。お笑い番組とか見ながら、感想言い合ったりはしたけど。でも、生活サイクルが微妙にずれてたし、お互い友達と食ってきたりして、2人で食う機会はそれほどなかったんだよ。夕飯一緒に食べたのなんか、2週間のうちの4、5回じゃないかな。」 「ふうん。」 「安心した?」和樹はニッと笑う。笑った口元に、ソースがついていた。 「うん。」涼矢はそのソースを指で拭って、舐めた。 「え、何。ソースついてた?」 「うん。」  和樹は長めのフライドポテトを1本、素手でつまむと、端を咥えた。「んー。」と涼矢のほうに突きだす。 「バカップル、やるの?」  和樹がウンウンとうなずくと、ポテトが上下に揺れた。涼矢がポテトの反対側を咥えると同時に、2人で食べはじめる。前回はスパゲティだったけれど、今回は長めと言ってもポテトだから、ほんの一口でキスに至った。 「しょーもな。」涼矢は照れ笑いをした。 「嬉しい癖に。」 「嬉しいけど、あっという間。これってほら、だんだん近づくぞ、来るぞ来るぞって盛り上がるところが、楽しいんじゃないのかな。」 「ああ、確かに。盛り上がるヒマもないよな、今のじゃ。」和樹はそう言ったかと思うと、涼矢のほうに身を乗り出し、顔を近づけて、そのままキスをした。「普通にキスするのと変わんない。」 「食欲と性欲が混乱するからやめろ。」涼矢が赤い顔をする。 「キスで赤くなるかね。あんなことまでしておきながら。」 「お食事中ですよ。」まだ赤い。 「へいへい。」  食事が済み、その後片づけも済んだところで、涼矢が「あ。」と声を上げた。「ジンジャーエール、飲む? もう炭酸水も冷えてると思うし。」 「飲む飲む。」  ガラスのコップも1個しかないから、マグカップにシロップを入れ、炭酸水を注いだ。マドラーなんてものもあるわけがない。涼矢は箸で軽く混ぜた。 「はい。」カップのひとつを和樹に渡す。ベッドに2人並んで腰掛けた。 「乾杯。」と和樹が言い、カップをコツンと合わせる。それから一口、飲んでみる。「うわ、何これ。超美味しい。すげ良い匂いだし。」 「そう?」涼矢も飲む。「もう少し甘いほうが良かったかな。」 「いや、いい。このぐらいがちょうどいい。」 「そっか。なら、良かった。……ご褒美、もらわないと。」 「……覚えてるのかよ。」 「忘れるわけないし。」涼矢は和樹の肩に手を回した。「これ、飲んでからでいいから。」 「せっかく作ったシロップ、無駄遣いしないほうがいいと思うよ。」 「そうだね。じゃあ、シロップ塗るのは省略。」涼矢は自分のジンジャーエールを飲み干した。「体中、舐めさせてくれるだけでいいよ。」そう言うと和樹の耳にキスをした。 「俺、まだ飲み終わってない。」あと一口を残しているのは意図的だろう。涼矢は和樹のカップを持つ手の上に自分の手を重ねると、強引に残りを自分の口に含んだ。「あ、ちょ、何すんだ。」焦る和樹の口に、自分の口を合わせ、口移しでそれを飲ませた。 「飲み終わったな?」和樹のカップを取り上げ、テーブルの上に置く。  和樹は観念したように、自分から服を脱ぎだした。下着までさっさと取り払う。それを見て、涼矢も全裸になった。  和樹が横たわった上に、涼矢が覆いかぶさる。和樹にそっとキスをして、髪を撫でた。 「……強引に始めた割に、随分優しいな。」 「さっき、結構無理させたから、優しくするバージョンで。」 「は。」和樹は笑う。「今更、何だよ。俺にあんなことさせた罪悪感?」 「そんなもんは感じてない。」涼矢は耳にも優しくキスをする。 「ああ? 悪いと思ってないの?」 「体の負担は大きそうだったから、それはちょっとかわいそうだったかなって思ってるけど。」その耳たぶを唇で挟み、そっと舐めた。 「んっ。」と和樹がわずかに反応する。 「でも、気持ち良さそうだったから。」涼矢は和樹のペニスに触れた。そこも強く扱いたりはしない。ゆるく握って、やんわりと愛撫した。そうしながら、耳元でささやきつづけた。「お尻のプラグ、動かすたびにすげえやらしい声で喘いで……めちゃくちゃ勃てて……出す時もイキっぱなしみたいな顔してて……俺の挿れたらすぐ奥まで咥えこんで……顔もお尻もぐしょぐしょで……気持ち良かった、でしょ?」

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