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第437話 a pair of earrings (4)

「そんなとこで見んなよ。」和樹は思わず足を出し、蹴るところまではしないが、威嚇した。 「じゃ、そばに行っていい?」  開脚した股間の真正面だったら、隣のほうがまだマシな気がして、和樹は頷く。涼矢はゆらりと立ち上がり、ベッドに乗った。スプリングが弾む。和樹のすぐ隣に陣取る。だが、触れることはなかった。息がかかりそうなほど近くから、自分の股間を観察されている。そう意識してしまうと、さっきのかぶりつきとどっちがマシか分からなくなった。それでもその行為を再開して、涼矢に視姦されているような気分を味わいながら、続きをした。 「涼……。」やがて和樹が切な気な声を出す。「触って。」耐えきれずに、そう懇願した。しかし、それでも涼矢は手を出してこない。ペニスどころか、肩にも、頬にさえ。その代わりに、また耳元で言う。 「触らないよ。そんなことしたら、止められないもの。最後までしちゃうよ?」 「じゃあ、見んなよ……。」 「なんで? 恥ずかしいから? 自分だけこんな格好してるのが?」 「黙れって……。」 「見られて、勃ててるくせに。」涼矢は耳に息を吹きかける。和樹の体が、ビクン、と反応した。「黙ったら、もっとよく聞こえちゃうけど、大丈夫? 和樹の、やらしい音。さっきから、いっぱい濡れて。」 「も、やだ。」和樹は涼矢の手をつかみ、自分のペニスを握らせた。「分かってんなら。」 「どこまでしていいの?」 「さ、触るだけ。」  涼矢は和樹のペニスを裏筋に沿ってさすりあげた。「まだそんなこと言ってるわけ? じれったくない?」 「もっと、ちゃんと、しごい、て。」 「べとべとだね。」そう言いながら涼矢はペニスをしごく。湧き出る先走りで、くちゅくちゅと音を立てた。 「あっ……あんっ……。」和樹は背後の壁に背中をなすりつけるように身を震わせた。 「それから? これで出すだけでいいの? 他に欲しいとこない? 一人でする時、ここだけ?」涼矢の指が和樹のアナルのほうへと滑る。穴までたどりつくと、中には挿れずに指の腹で押さえるようにした。「こっちは? こっちもしてんだろ?」 「……。」和樹はうつむきがちになり、黙り込んだ。息だけが荒い。 「言わないと、何もしてあげない。」 「……。」それでも和樹は何も答えない。ただ、腰を少し前に突き出して、よりそこが露わになるようにした。 「ねえ、すごく欲しがってるよ、ここ?」涼矢はそこを2本の指で広げるような仕草をした。 「ちょっ、や……。」とっさに涼矢を押しやるようにする。すると、涼矢はあっさりとアナルの指を引っ込めた。 「分かった、じゃあ、手伝わない。1人でやって。」素っ気なく言い放つ。 「……や、だ。」 「何が? 何がやなの?」 「……れて。」 「ん?」 「挿れて。」和樹はうつむいたまま小声で言う。 「指でいいの?」さっきとは打って変わって優しい声だ。和樹はコクンと頷いた。「じゃ、あっち行こ。ここ、汚しちゃだめなんだろ?」  涼矢に手を引かれるようにして、和樹は布団に移動した。涼矢に背中を支えられながら横向きに横たわる。涼矢は和樹のズボンもパンツも脱がせて、下半身を露出させると、早速、その穴へと指を挿入した。 「んっ。」そうなることを予想して、腕で自分の口を塞いでいた和樹は、くぐもった声を上げる。 「柔らかいね。準備してた?」和樹は何も言わない。「してないの? それでこんなんだったら、すげえ、エロくなっちゃったんだね、和樹のここ。」 「ちがっ……! 準備した、から。」反論のつもりかもしれないが、逆効果だ。  涼矢は背後から和樹のうなじにキスをした。「それもやらしいね。自分ちで、親もいるのに、そんなこと考えてたんだ? そんなエッチなこと期待してたのなら、なんで我慢させるの?」涼矢は自分だけ起き上がり、両手で和樹のそこを押し広げるようにした。 「や、やめっ、何して……。」 「エッチなとこ、見てる。」 「馬鹿、ふざけんな、やめろ。」和樹は身をよじって逃げようとしたが、涼矢はその腰をしっかり抱いて、逃さなかった。 「可愛いよ。すごく。ヒクヒクして。欲しがって。」涼矢は和樹を仰向けにさせ、両足を広げた。それを持ち上げるようにして、その中心を舐めはじめた。 「やっ、あ、涼、馬鹿、それっ……。」  舌を硬く尖らせて、なるべく奥に届くようにとつついていく。 「あっ、あんっ、やだ、だめ、あっ……。」耐えきれずに喘いでしまい、慌ててまた腕で自分の口を塞いだ。  涼矢は姿勢を変え、またそこに指を挿れる。今度は2本いっぺんに。あっけないほど容易く、入っていった。  和樹は「ひぁっ。」と短く叫んだ。  和樹の中で、涼矢は指を巧みに動かし、前立腺を刺激する。和樹のペニスは完全に勃起していた。「指じゃ物足りないみたいだけど。」 「言うな、あっ、ああっ、んんっ。」文句を言おうとして口を開けば喘ぎ声になってしまう。 「和樹だけイッちゃうの? お尻に指挿れられて? ねえ、今、何本入ってるか分かる?」涼矢は3本目を挿入する。 「やっ……。」和樹は体を弓なりにした。「あっ、も、やだ、も、抜いて、それ。」 「抜いていいの? それとも。」

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