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ニー。同棲生活⑨

すると丁度ドアを開けた夏目さんが、頭にタオルを被って出てきた。 「夏目さん!」 「は?」 「俺、花渡さんにとても失礼な――」 パサリ。 タオルが落ち、濡れた髪がキラキラと輝く。 ……金髪の髪に、緑色の目をした夏目さんが俺を見て口を大きく開けている。 「お前、もしや氷田聖?」 「え、あの、その、夏目さん?」  ではない。全く似ていない。  いや、同じ強面だし鋭い目だけど、違う。  夏目さんがこんな数時間で金髪にカラコンいれる理由が分からないし。 「ふうん」 値踏みするように俺を見ている夏目さんを見て固まった。 この人、全裸だ。 その上、下のヘアまで金髪で、下の通常サイズのはずのブツがビックマグナムだ。 「へえ、お前が吾妻の代わり、ねえ」 腕を捕まえられて、背中にゾクッと悪寒が走った。 「大丈夫? 兄貴のアレを此処で受け止められるの?」 するりと両手でお尻を掴まれたと思うと左右に開かれた。 「う、うわ」 「慣らしてあげるよ。俺、上手いし?」 がっつりと腰を捕まえられたと思うと、ひらりとお姫様だっこされて、ソファに下ろされた。 ぴちょんと、彼の髪から水が滴って俺の頬に落ちる。 身体が動かない。 怖いのに。 声が出ない。 『聖君。――君って本当に』 ぞわっと全身に悪寒が広がるとともに、彼の声がした。 「どっちがいい? ローターとバイブ。ローションも匂いがさあ」 ガサガサとテーブルの下の引き出しから何か取り出そうとして横を向いていた。 お腹に乗っている重さも、何もかも怖い。 「や、やめてくだひゃ、いっ」 か、噛んだ――!! 噛んだし震えてるし、本当に情けない。 「なんで? いきなり兄貴の挿入すんの無理だって。俺の方が兄貴より経験豊富だし慣らすの上手いし」 ――同じ顔なら上手い方が良いだろ? 覆いかぶさる彼の、最後の声が届く前に乱暴にズボンが下ろされた。 「や、やだーー!」 Side:夏目 拓馬 「暇(いとま)! てめえ、早まるなよ!」 玄関で靴を脱ぐのも忘れてリビングへ走った。 「な、夏目さんっ 夏目さあああん!」 放心状態の暇を押しのけると、涙を流して走ってくる聖に何故か胸が熱くなった。 条件反射の様に両手を広げた俺に、聖は躊躇なく飛び込んできて、ガキの様に泣きだした。 「えっと、兄貴?」 「お前、なんでこいつに手え出そうとしたんだ?」 「いや、吾妻みたいに袖にされると思ってのに抵抗しないから良いのかなって」 「歯を喰いしばれ」 片手で聖を抱きしめながら、思いっきり暇をぶっ飛ばした。 女の恋人なら、共有しようとはしてこなかったので家に入れることには問題は無いと思っていた。  暇が女性に全く興味がない、かといってゲイと言えば少し難しい。そんな奴だから油断していた。  そうだ、こいつは本来こんな人間だった。 しかも聖をあのデートクラブの会員だと思ってるなら話は別か。 「聖、大丈夫か? すまん。下半身が猿以下の馬鹿がいることを説明してなかった。怖かったか?」 頭を撫でながら抱きしめると、聖はこくんと頷く。 「いきなりさ、触られた……」

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