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ゴー! ゴーゴゴー!⑩

理性なんて今すぐ壊れてしまいそうなのに、俺の為にブレーキをかけてくれてる。 嬉しい。 身体だけじゃないくて、ちゃんと俺の心も欲しいんだと言ってくれてるようで、嬉しい。 「受けとめるよ、夏目さん。全部、受けとめる。だから、もう離れたくないよ」 どうか、夏目さんを悩ましていた全てのモノが解決したら、俺の元に帰って来て欲しい。 俺もここに帰って来たかったんだから。 俺からキスしたら、鼻がぶつかってちょっと上手くいかなかった。 でもこれから覚えていく。 夏目さんの指で、言葉で、身体で覚えていく。 服の中に手が入ってきたと同時に、緊張を和らげようとする熱い口づけに、恐る恐る目を閉じる。 するすると肌をなぞられ、その感触に酔いしれていたらもう上の服が脱がされていた。 器用に片手で服を脱がす、慣れた様子に悔しさが隠せない。 でも悪態を吐く暇もないほど、首筋から順に花びらを散らされていく。 火傷しそうな唇の感触は、ちょっと怖いかもしれない。 でも下半身にじゅくじゅくとした甘い甘い痛みが広がっていった。 夏目さんの指がゆっくり俺の下半身を暴いていく。 そしてすぐにカチャカチャとベルトの外す音がした。 下着をずらされて、触れてきた夏目さんの手。 心臓が破裂しそうになりながら、シーツを握る。 びちゃりと舌の音がして、ハッと顔を上げたら、夏目さんが顔を埋めて舌を這わせていた。 なぜか既に半勃ちしている俺の熱芯を、大きな片手で握る。 「ーーっ」 嫌だと頭を抑えたら、おれを見上げてニヤリと笑う。 今度は俺の目を見ながらしたから上へ舐め上げると先端を舌で弄る。 嘘だろ。俺も男だし夏目さんも男だろ。同じものをなんで抵抗もなく舐めれるんだよ。 ホモじゃねえって言ってたのに。 でも。 「ぁっ」 変な声が、出る。 両手で口を抑えるのがやっとで、夏目さんの顔を押しやる力がない。 いや、力が入らない。 怖い。 俺の身体が俺のモノではないみたい。 俺じゃないみたいな感覚の中、夏目さんの体温が俺の形を作っていく。 好き。好きだ。 怖いけど、甘く、胸が痛むけれど、じゅくじゅくに溶かされていくけど。 オレ、この人が好きだ。 好きで、好きで、――涙が止まらない。 どうしてこんなに、この人が好きなんだろう。 学費を払ってくれたから? 居場所をくれたから? トラウマを大事にしてくれたから? チャリンと揺れる鎖の音が、ぼうっとなる頭の中に響く。 その鎖を手に持つと、すぐ隣に触れて来ない左手が置いてあった。 (……この左手だ) 俺が好きになったのは、この触れて来ないのに一番傍にある優しい夏目さんの心だ。 鎖を引っ張ると、その鎖に口づけをする。 「……いらないよ、もうコレ」 俺がそう言うと、夏目さんは乱暴にベットを引っ張って手錠を外した。

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