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ゴー! ゴーゴゴー!⑪
手錠がベッドから落ちる瞬間の音は、俺の心が落ちる音に似ていた。
落ちたらもう、戻れない。
きっと俺はもう、戻れない。
こんなにも愛しくて、苦しくて、涙がこみ上げてくるのに、――嬉しいんだ。
夏目さんは手で、俺が一番声が漏れる敏感な場所を触って、気持ち良くさせてくれたけれど、最後までしなかった。
ただ、辛そうに脹れあがった夏目さんの下半身のブツが余りにも大きすぎてもやは凶器でしかなかったことことが印象的だった。
それに触れた。
二人で手を動かしながら、一緒に気持ち良くなろうとした。
ぴくぴくと動くそれが、俺と同じものとはどうしても思えなかったけれど、夏目さんのものだと思うと、愛しかったので頑張った。
「……夏目さん」
「あ?」
「俺の事、壊すんじゃなかったの?」
俺の腹に放たれた二人分の白い液体を、夏目さんが拭きとり隣に寝転んだので驚いてそう聞いてしまった。
「……流石にいきなりは入らねえ。これが、ここ、だぞ」
「ひゃあ!」
いきなり触られてベッドから飛び上がると、髪を撫でられた。
「ちょっとずつ、慣らしていこう。したくねえわけじゃねえんだが、今は痛いだけだから、な」
「……うー」
俺、覚悟してたのに。
怖かったけど覚悟してたのに。
「怒るな。やっと再会できたんだから、そんな顔じゃなくて、もっと俺に甘えろ」
シーツを胸までかぶせられ、子どもが寝るみたいにポンポンとあやされて、頬が膨れた。
「だって! 俺、男だぞ! 男が男を受け入れる覚悟の前に本番しねーってどういう――んんっ」
うるさいと言わんばかりに塞がれた唇。
……悔しい。
夏目さんのキス、頭がぽわんとなる。
誤魔化そうとしてる。
「夏目さん!」
「分かった。じゃあ、どんぐらい痛てぇのか、まずは指だ。いいんだな?」
「お、おう。どんっとこい」
一瞬だけ声が震えたのは、武者ぶるいだ。
ただ、俺は冷たい液体と共に入ってきた指の痛みに思わず大きな声で『痛ぇ!』と叫んでしまったのは言うまでもない。
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