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ロック!!襲うぞ!!④

Side:夏目 拓馬 「……繋がらねえな」 聖に電話が繋がらねえ。 今日は三限目を取ってないから時間があるはず。 美味しいカツサンドの店で食事でも、と思ったんだが。 「社長、すぐにお戻りください」 社長室にノックもせずに現れたのは、花渡だった。 「どうした?」 「暇さんが、倉庫の在庫を漁って逃げて行きました」 「いつものことだろ。ちゃんと支払ってるなら問題ない」 「……暇さんにしては不自然なものを漁っています。そして、監視カメラの映像から、車に聖さんと吾妻くんの姿が」 「あ?」 なんで暇と聖が? 吾妻って野郎もどうして一晩100万で何もさせなかった暇に? 「……差し出がましいのですが、やっと男性恐怖症を克服したばかりで好奇心から色々試して……行為自体に恐怖を感じたら身も蓋もありませんよ」 カメラを確認すると暇が持っていた道具は、ローションやラブコロン。 媚薬効果のあるお香……。 確かに俺のマンションには置いていないかもしれない。 「っち。午後の会議には戻る」 「お供します」 「……お前も?」 花渡が淡々と言いながらもさっさと俺のコートを取り、車のキーも差しだしてくる。 まるで秘書のように。 秘書も兼任してくれねえかな、こいつ。 「俺も吾妻くんに用があるので」

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