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ロック!!襲うぞ!!⑥

「……俺も悪い。つい吾妻に押し倒されている聖を見て嫉妬してしまった。いいから、風呂に入ってこい」 今度は優しく耳元で言われたので、小さくうなずいた。 二人にはごめんな、とアイコンタクトして風呂へと向かう。 ……そうか、嫉妬か。 ってことはやっぱ吾妻とあんな風にマッサージするのはダメなことなんだ。 キツくて甘い匂いに酔ったのか。上手くズボンが脱げない。 先にシャワーのお湯を捻って、再びズボンに手を伸ばす。 すると、シャワーの熱気で更ににおいが甘く香り、俺の思考を停止させる。 ふわふわ、する。 なんだか上手く、手に力が入らない。 お酒を飲んだ時みたいに足元が柔らかい絨毯の上見たい。 上手くズボンが脱げなくて、コロンと床に転がった。 「……ん?」 すると今度は下半身が痛くなってきた。 中心部がパンパンに膨らんで、上手くファスナーを下ろせない。 いつの間にか、匂いに充てられて下半身が反応していたんだ。 「や、ばいかも……」 でも早く洗わなくちゃ、夏目さんに謝りに行けない。 ふらりと立ち上がろうとして、またよろめいてしまい、情けなくて涙がじわりと滲んできた。 「な、つめさん……」 *** Side:夏目 拓馬 吹っ飛んだ暇に近づいて、胸倉を掴む。 「……もう一度言ってみろ」 「だーかーらー、お昼に焼き肉食べた時、飲みものに少しだけアルコール入れただけだよ」 「ローションだって媚薬効果じゃないよ。リラックス効果がある香りだもん」 「お前も殴られたいのか、吾妻」 反省の色を見せない二人を、思い切り蹴飛ばし、胸倉を掴み、廊下を進む。 玄関をあけ、廊下へ放り投げた。 「吾妻、お前にはお仕置きが待ってると思うぞ」 「……は?」 「下で花渡が待ってる」 俺が淡々と告げると、苦々しい顔になった。 「が、俺はお前らに介入するつもりもない。よって、聖と俺の問題に口を挟むな」 怒鳴り散らしてやろうかと思ったが、聖がかばったのでこの程度で許してやる。 暇と吾妻は言いたいことが溢れていると言いたげな顔だったが、睨みつけて黙らせた。 ――情けねえ。 聖の方から今日もしようと言ってたが、そんなに身体を繋げることをあいつは深刻に悩んでいたのか。 そこまで思い詰めさせていたのか。 シャワーを浴びている聖に、なんと声をかけていいか迷いつつ向かうと、湯気が廊下まで漏れ出ていた。 「聖!?」 床に転がってお腹を押さえている聖を見つけ、急いで上半身を抱き上げた。 「な、夏目さ、ん……っ」 「どこが悪いんだ? 大丈夫か?」 「痛い……前、痛い」 視線を下へずらすと、お腹ではなくジーンズの上を押さえていた。 「自分でファスナーぐらい下ろせないのか」 「力が入らなくて、なんか、ふわふわしてる……ごめ、夏目さん、落ちついたら戻る、から」 放っておいてと聖は目で訴えてくるが、どう見ても放っておける状況ではない。 嫌かと思ったが、シャワーをお湯に変えてから俺がジーンズを下ろした。 「俺が洗うぞ? いいか?」 「……ごめ、なさい」 「謝るな」 下着を下ろそうとすると、へなへなの両手で阻止された。 もう頭を持ち上げて、下着の中でも苦しそうなのに。 「昨日も見ただろ。恥ずかしがるな」 「でも」 「黙ってろ」 弱弱しい両手を払いのけ足元まで脱がすと蹴飛ばした。 両目をぎゅっと閉じて羞恥で真っ赤になっているが、気にせず肩を抱く。 「だめ、夏目さんの肩にローションが付く」 「構うか。喋るな。説教は後だ」

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