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恋人生活②

俺の負担を考えてか、触りあいことか、ちゅーだけとか、弄るだけとか。 嫌じゃないけど、中途半端じゃいやだ。やるなら、痛いぐらいの快感が欲しいわけだ。 「お、俺も拓馬の舐めてみたいのに、やらせないし」 「……いい。お前はまず俺に愛されるのに慣れてからだろ」 「じゃあちゃんと最後までしろよ! ……クリーニングに出すって言ったのは拓馬だからな」 挑発するように拓馬の首に腕を回す。 「……困ったな。あかりさんに怒られる」 「なんでだよ」 「良い子だった聖を、こんなイケない子に育ててしまったってな」 「んっ」 乱暴に侵入してきた舌に気を取られ、そのまま足をかけられたと思ったら抱えられた。 たった数秒の隙に、お姫様だっこでベッドまで運ばれた。 キッチンを中途半端にしてしまったけれど、俺も拓馬の胸にしがみついた。 キスだけですでに腰が砕けて、……拓馬の触れる指先を想像して身体が熱くなっていたから。 「拓馬ってまじずるいよな。――格好良すぎ」 「そうか?」 「うん。……すげえ好き」 10年後の自分が想像できないけれど、多分拓馬みたいに落ちついた大人になっていないような気がする。 そう思うと、拓馬が今まで生きてきた時間の方が、親に放置された俺よりもきっと壮絶だったのだと思う。 その俺に、自分の様な苦労をかけまいと、極上に甘やかしてくれる人だ。 「奇遇だな。俺も、大人の余裕を見せてやれないぐらい好きだ」 前髪をあげられて、子どもみたいなキスをされた。 それに不服で睨みつけると、すでに拓馬の眼は獰猛に光っていて唇を舐めて俺を甘く誘っている。 「余裕なんて見せるなよ、俺なんていっつも余裕ねえよ」 「ぷ。お互い様だ」 顔が近づいてきて、唇が重なった。 最初から舌が入ってきて、お互い貪るように求めあうキスが俺はちょっと好きだ。 こんなに激しいキスは、同性だからこそできるんじゃねえかなって思う。 シュッと一気に抜かれたネクタイ。 自分でボタンを外そうとすると、手を振り払われ、拓馬が脱がしていく。 悔しくて俺がベルトをガチャガチャさせて覚束ない手つきの中引き抜くと、お互い額に汗を浮かべていた。 日々の時間に追われる、追い詰められる、逃げられない。 就職という現実から逃げられないと、焦って我武者羅に突っ走るだけだったけれど、忘れてた。 ギリギリまで頑張ったら、こうしてご褒美みたいに甘やかしてくれる人がいる。 俺が限界じゃないか気にしてくれる人。 俺の優しい恋人。 でもなぜか、スーツを脱がさずズボンの上から俺を擦ってきた。 「拓馬?」 「……スーツ姿のままの聖もいいなってずっと狙ってたんだよ」 「す、スーツプレイ?」 「なんだそれ、ちげーよ。ただ、いつもと違う姿で興奮してる聖が可愛い」 にやりと笑う拓馬は、俺が足をもじもじさせているのに気付いてわざとだ。 本当にスーツを汚そうとしているって気付いたけれど、遅い。 キスでとっくに身体が熱くなっていた俺には、スーツのその後なんて興味が無くなっていたから。

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