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恋人生活⑬
い、一緒に入る?
「拓馬、一緒にって!」
「今さら恥ずかしがるような関係でもないだろうが」
「でも、今俺超汗掻いてて」
色々と言い訳をしているうちに、全部脱いだ拓馬がさっさと入ってきた。
ああ、やばい。
本当に良いからだしてるんだよなあ。
「ほれ、詰めろ」
「と、隣に立つなよ。目の毒だろうが」
シャワーをしようと立ち上がった俺の隣に並ばれると、色々と困る。
「ああ。ムラムラしてたのか」
「してない」
「じゃあアレは興味本位か?」
湯船に浮かぶ可哀相な状態の玩具を見て、にやりと笑いやがった。
「きょ、興味本位だよ! だって、あれで拓馬がイッたんならばって」
「因みに話は変わるが」
今まで感情も見せずに、にやりとしか笑っていなかった拓馬が、急に俺からシャワーを奪うと、俺を壁に押し付けた。
「……恋人がいるのに満足してなかったって言うなら詫びて、今から全力で気持ち良くさせてやるが?」
「ちがっ ひぃっ」
両手を壁に縫い付けられて、ふっと飛び込んできた身体に視線を逸らした。
すると、耳にぬるっと舌が入ってきて、中を愛撫し出した。
「お前が興味ある玩具は、自分の中を気持ちよくさせるバイブとかかと油断してたんだがな」
「んっ よ、くわからねえってば」
「こっちを使うってことは、――やっぱお前、女とヤッてみてえんじゃねえか?」
――え?
ちょっと苛立った声に、顔を上げる。
すると、苦しそうな顔をした拓馬の顔に思わず息を飲んだ。
「や、きもち?」
「知らん」
「俺、拓馬がいれば、一生童貞でもいいし」
かあっと頬が熱くなると同時に、拓馬が吹きだした。
「すげえ殺し文句」
「あのさ、拓馬」
「あ?」
おずおずと、俺から唇にキスすると目を丸くした。
「あの玩具、やり方分からないから拓馬が俺にやってよ。――それじゃダメ?」
その瞬間の、大きく目を見開いた拓馬の顔。イケメンは驚愕してもイケメンなんだなって思った。まる。
***
ぴちょんと、蛇口から滴り落ちる水の音。
湯気に時折視界を奪われつつも、拓馬の上に座る形で湯船に浸かりながら玩具を、滾って熱を帯び芯を持った俺自身に当てていた。
後ろから拓馬がやってくれているんだけど、入口が狭くて食い千切られそうで、――痛いって感想しかない。
「この玩具って、ゆ、指で入り口慣らした方がいいの?」
「さあな。だが玩具はキスしても指入れても、力抜いてくれないからなあ」
「ひっ 卑猥!」
何を言うのかと驚いた拍子に、ぐっと押し込められた。
ううう。
千切れる。
これ、上下に動かされたら死んでしまいそうなんだけど。
「た、拓馬、不能になりそう」
「湯船の中じゃあダメか」
「……そうなのか分からないけど、やっぱ拓馬の手と全然違うから気持ち良くない」
「へえ。俺の指は気持ちが良いと」
後ろを振り返らなくても分かるほど、拓馬は上機嫌だった。
「当たり前じゃん。拓馬の指は優しいし。最初は痛いけど慣れたら、痛いだけじゃないし」
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