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恋人生活⑮

甘い期待に胸を弾ませていた俺に対し、拓馬はスパルタだった。 もう少し擦るように、とか、ここを重点的に、とか、お前は教師か! と怒鳴りたくなったが止めた。 言われたとおりに手を動かして、拓馬が反応して行くのが新鮮で、ドキドキしたけれど嬉しかった。 俺のぎこちない手の動きに反応してくれるのに、とてつもなく愛を感じたから。 「……拓馬」 「あ?」 「お、――俺が声出しちゃったり喘いだりするのって嬉しい?」 「ぷ。両方同じ意味じゃねえの? まあ嬉しいけど」 荒い息を吐きながら笑う拓馬に、胸をぎゅっと掴まれた。 女みたいな可愛い声なんで出せてないじゃん。低い声だろ。 なのに、嬉しいのって、反応してくれるのって、やっぱ俺、愛しか感じられねえ。 「……じゃあさ、硬くなったこれで、――俺を貫いてよ」 「は?」 「いっぱい、拓馬を感じたい」 耳まで真っ赤になったけど、真っ直ぐに拓馬を見た。 拓馬はきっと、玩具だけで終わらせようとしてたのは分かってる。 滅多に最後までしてくれないのは、自分ので俺を傷つけない為。 でも俺はもっと、拓馬を感じたい。 拓馬のモノでめちゃくちゃにされたい。 触るのを止めて、硬くなった拓馬の上に乗ると、自分から腰を下ろしてお尻に擦りつけてみた。 ぴちゃぴちゃと湯船が跳ねる中、お互い小さく息を飲む。 「っち。我慢してやったのに」 馬鹿が。 そう言ったと同時に荒々しくキスされ、何を話そうとしても唇を奪われ言葉の意味は無くなった。 かわりに、身体に入ってくる拓馬の熱に、俺ももっと感じたくて深く腰を埋めた。 「煽ったのはお前なんだから、声我慢すんなよ」 「うっ し、しないけど、引くなよ」 「ああ、愛してやるよ」 言葉は乱暴なのに、指先も声色も、仕草も全部優しくて甘い。 「んっ ――く、っそっ」 ゆらゆらと腰を動かされ、湯船と一緒に身体が揺れた。 身体を裂かれる様な圧迫感が、今は気持ちが良いなんて信じられない。 もっと奥に来てほしい。 もっと、激しく俺を求めてほしい。 もっとズブズブに甘やかして、――俺だけを甘やかして欲しい。 「す、――好き」 「ああ、聖。俺もだ」 「ひ、ぁぁっ。今、動いたらっ」 「ああ、そうだったな」 忘れられていた玩具を、ぽいっと放り投げて直接触られてた。 先端を指の甲で刺激されたら、一瞬で絶頂まで登って――放ってしまった。

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