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エピローグ①

合格メールが届いた瞬間、ソファの上に仁王立ちになった。 「うっしゃ!」 漸く内定が決まった。 たったの一社だったけれど決まった。 四年になったら、ここでバイトしつつここの会社が行ってる児童養護施設へのボランティアにも積極的に参加しようと思う。 「だーりんりん、すげえだろう」 朝から上機嫌だった俺は、そのあと家に届いた内定書を持ってくるくる回りつつ、ソファで雑誌を読んでいる拓馬に後ろから抱きついた。 ちゅーっと頬に口づけると、面倒くさそうに雑誌を閉じて、俺の手を引っ張り強引に自分の胸の中に引きずりこむ。 「朝から、ずっと上機嫌だな。今ならどんなこともしてくれそうだな」 「あー? なんだよ。コスプレとか裸エプロンとかやめろよ。もうすぐ社会人なわけだし」 えっへんとふんぞり返っていると、クククっと楽しそうに笑われた。 「そうだな。例えば、バイブ3本とか」 「え、えええ、え?」 「内定が決まらなかったら、俺の専属秘書にしてやったのに、決まりやがって」 拓馬が専属秘書なんて言うと、なんだかエロいことする仕事しか想像できない。 でも口だけで、本当に玩具使おうとかしないくせに。 アダルトグッズの会社社長の癖に。 「……まあ、玩具は無理でも多少の事は聞いてやるよ。あいつらが帰ってからな」 俺の内定のお祝いに、吾妻が来てくれることになっている。 ついでに、暇さんも来るらしい。 そして花渡さんも。妹の式部さんは仕事で来られないらしい。 五人で、拓馬が買ってきた5キロの肉を使ってバーベキューだ。 なんと、このマンションの屋上は管理人に申請すればバーベキューからパーティーやらできる施設があるらしい。 「あいつら追い返して、寝室に行くか?」 「わっ ――どこ触ってんだよ」 背中から腰をなぞられて、びくびくと甘く刺激を感じた。 くそう。一日嬉しくて構ってやれなかったから、ちょっと意地悪したそうな顔をしてる。 「あ、あと10分で三人来るから」 「ロビーで待たせとけ」 とうとう雑誌を放り投げ、俺を片手で抱きかかえると押し倒して来た。 ソファは二人で寝ころぶには、大分狭いんですけど。 「キスだけな、キス」 「ガキじゃあるまいし、無理だ」 覆い被さってくる拓馬の顔は色気がやばくて、流されたい衝動に駆られながらも首を振る。 「だ、だめだって、俺のお祝いなんだぞ!」

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