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エピローグ⑦
「お前の小さい口には、頬張るところかキスぐらいしかできねえんじゃねえか」
「ば、! く、咥えられるし」
大きい大きいと本人も周りも自覚してるだけあって、手で握っただけでずしりと重くて。
ってか、柔らかくてふにゃふにゃなんですけど。
「なんで立たないんだよ!」
「そりゃあ、隣に馬鹿三人が盛り上がってるからじゃねえか」
「えっ」
ちょっとだけ背筋を伸ばして覗いてみた。
すると、花渡さんの上に乗っかった吾妻が、口づけをしているのが見えた。
うわあ。なんか、綺麗な人同士、見てはいけないような。
ドキドキしてしまう。
暇さんが吾妻の服を脱がして首筋に舌を這わすのは、完全に目を逸らしてしまった。
「大丈夫。俺達、本番しないから」
「当たり前だ。ここはラブホじゃねえぞ」
眉間に皺を寄せながら、拓馬は俺の髪を撫でる。
「お前もだ。無理すんな」
子どもを諭すように言われて、腹が立った。
ずるんと下着を下ろすと、頬にぺちんと当たって驚いたけど、止めるつもりはない。
恐る恐る、右手で握って先端に口づけた。
苦くて、案外塩辛いんだなあって冷静に分析して味わってしまった。
不快感は全くない。
それどころか、ちょっとだけ芯を持ちだしたので、大きく口を開けて頬張ってみた。
が、三分の一も口の中に入らない。
頬がぼこって盛りあがって、不細工な顔になった気がする。
それでも拓馬の反応が見たくて見上げると、俺の顔を見て、拓馬が息を飲むのが分かった。
「――煽るな、ガキ」
照れてる時に、言葉が乱暴になるのを知ってる。
だからその反応は嬉しかった。
「……そうですよ。彼みたいな初々しい反応が君達二人には最初からなかった。彼を見習ってください」
「は? 俺だって花渡に出会う前は処女だったじゃん!」
「ばっかでー。男同士の初々しいものほど面倒なことはねえのに」
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