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四、脅迫したいな。③

「できれば、家柄に恥じないようにお願いしたいのですが、聞いてくれませんので」 ゆらゆらと湯気を見ながら、花渡が紅茶を飲まない様な気がした。 淡々と告げながらも、明らかに吾妻へのいら立ちが感じられたから。 「あんたも、ろくな環境で育たなかったんだね。俺もだよ」 クスクスと笑うと、眉をしかめた。 「育ちは関係ないですよ。救われたか、救われなかったか」 「救われたの?」 「そうですね。おそらく暇さんよりは」 その言葉は、多分フラフラしている俺に苛立ちをぶつけるための嫌みだったのかもしれない。 でもその嫌みも、なんだか危うげで似合わなくて頼りなくて。 益々面白いなって思った。 気付くと、身を乗り出して花渡の肩を掴んでいた。 見た目は華奢なのに、意外と筋肉がついてて悪くない。 「なんですか」 「味見してもいい?」 肩をちょっと強く押すと、ソファにふらつき肘を付く。 そのまま覆い被さると、顔を背けて眼鏡が少しずれた。 「なんか美味しいそうなんだよね、あんた」 覆い被さって正面から見下ろす。 表情は変わらないのに、乱れた服から見える鎖骨。 ソファに散らばった黒い髪。 切れ長の黒い瞳が俺を見上げるのは、確かに宜しくない感情が浮かんできてしまう。 「俺さ、仕事以外でえっちしない主義なんだけど、吾妻を虜にしちゃうあんたに興味があるんだよね」 「はあ」 「最後までしないから、弄っていい?」 服の中に手を入れながら尋ねると、鼻でふんっと笑われてしまった。 「構いませんよ。この状況でなお同意を得ようとする辺り、仕事以外は経験ないんですね」 「……そーゆーあんたは?」 余裕ぶった笑顔に少しむっとすると、余裕の笑顔を浮かばれてしまう。 その笑顔たるや、――妖艶と言っていいのか。 ワザと誘うように薄く開いた口から舌が出て唇を舐めた。 ああ、吾妻。 あんたじゃこの男は支配するのは無理だと思う。 「舐めてもいいですよ。でも残念ながらネコではありません」 「えー。こんな男を誘う体なのに、あんたに突っ込んでガンガン突いたらダメなの?」 「はい。どちらかと言えば、咥えてもらって喉の奥にガンガン突いてあげたい気分です」 片手で自分から服をめくり、ズボンと身体の間に一本指を入れた。 「……貴方は、前戯より中を突けば快楽を得られると、安易で単直なセックスしかしなさそう」 「酷いっ。それって下手そうって言いたいのー?」 お言葉に甘えて、服をめくった肌に舌を這わせる。臍にくちゅりと舌を回し、上へ登らせた舌で、胸の尖りをクニクニ刺激する。 だんだんぷっくり硬くなってきたのに、声もあげない。漏らさない。 俺が下手だと言いたいのだろうか。 「暇さん。俺の前で男優したいなら止めてください」 尚且つ挑発は止めない。 「ちゃんと前戯だけでイかせてみてくださいよ」 「……あんたさあ」 「下手だから吾妻さんとセックスできないんですか?」 ほお……。 俺を挑発したり誘いに乗ったのは、もしかして。 俺と吾妻の関係に嫉妬?

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