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四、脅迫したいな。⑤、5
「酷え。父親は違えど同じ巨根なのに。俺より花渡信用するなんてさ」
「仕事の上では信用できるからな」
草食系のふりしたインテリに見えるかもしれないが、絶対花渡はあれだし。インラン系だし。
絶対ベットでは自分から乱れちゃうだろうし。
ああ、でも。
謙ったり兄貴に取り入ったりするくせに、余裕がある雰囲気なんだよな。
つまりプライドはエベレスト並に高いのを隠してる。
男に組み敷かれるなんて、きっとプライドが許さないだろう。
吾妻は男のセンスが悪すぎるんじゃないかな。
あいつは悪い男だと思う。
甘い香りに誘われて、蜜を求めてふらふら。
優しく抱きしめられて、食べようと手を伸ばせば、逆にベロンと食べられる。
***
side吾妻
機嫌が良いのか悪いのか。
急に暇に呼び出されたかと思ったら、深刻そうな顔をしていた。
「何かあったの?」
今日は仕事入ってなかったら友達と飲みに行こうと思ってたのに。
百万の日、つまり月一しか暇とは会わない。
連絡先も知らない。
本当に毎月一晩だけの関係だったのに。
こんな3日ぶりに会いたいと言われるとは思ってもみなかった。
来たら来たで、一目散に腰に抱きついてきた。
ヘッドに押し倒されつつも、腰に巻きついている暇の返答を待つ。
意外と癖もなくサラサラの髪だ。
「吾妻ってさ」
「ん?」
「花渡、ムカつかねぇの?」
3日ぶりに会ったかと思えば。
きっとこの前の帰り道、何かあったに違いない。
「ムカつくよね。ムカつくぐらい惹かれてるよね?」
「……どうしたのさ。なんかいつもの、雲みたいにふわふわ掴めない、余裕のある暇じゃないよ」
「だってアイツ、プライド高くて面白そうだけどむかつくんだもん」
もん、と年上の男がぶりっこすんなよ。
そう思いつつ頭を撫でていたら、ふと顔を上げてきた。
腰に抱きついている時に、暇が俺を見るのは初めてのことだった。
「……いっそ二人で襲ってみようか」
「は?」
「襲ってみようよ。なんなら監禁しちゃう? 俺と吾妻で交代で様子見とけばいいし」
「待って。落ちつけってば。監禁は犯罪だろ」
AVの見過ぎだ、バカ。
いや、AVの出過ぎだ、バカ。
の方が正しいのかな?
「うわああん。吾妻が超正論言ってくるよ! まるで俺が悪いみたいだ」
がばっとまた俺の腰に顔を埋めてきた。
何があったのか知らないけど、大方こいつが花渡にちょっかい出して相手にされなかったんだろ。
あいつ、他人に興味なさそうだし。
「お前、花渡に惚れたの?」
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