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愛について。⑪
どうしても花渡が好きで、綺麗で、自分のモノにしたかった。
けれど彼は難攻不落の絶壁に佇むお城で。
触れたい、触れられたい、傍に居たい、傍に居て。
自分だけじゃなく、相手にも自分を求めてほしくて、ガキっぽく恋心とやらを暴走させてしまった。
そんな俺の危なっかしさにブレーキとアクセルを教えてくれて、いっつもふざけてるくせに一番暇が厭世的だった。
俺たちは歪で、一人じゃ形を保てなくて、二人でもきっと何か欠けてしまうけれど、三人だと。
三人だときっと歪な形に丸みが帯びてくると思うんだ。
花渡にキスをすると、少し緊張する。身体が熱くなって、甘く痺れる。
暇にキスをすると、なんだか満たされて、クスクス笑いあって体温に触れたくなる。
花渡が暇の上に跨って、暇に口づけをするのはちょっと複雑だったけれど、眠りの森の姫が、王子を押し倒して誘惑するような、そんな挑発的な雰囲気にドキドキした。
「吾妻さん」
「ん?」
「まだ――引き返せますよ」
少しだけ困ったような表情をする。それはどんな意味で言っているんだろうか。
「私は暇さんぐらいぶっ飛んでる人の方が楽なのですが……吾妻さんだときっと」
「花渡」
それ以上言わないように花渡の唇に自分の唇を押しつけた。
「それ、多分俺も同じ。だから嫌だ」
自分で服を脱いで、ベッドの上に沈む暇と、その上に覆い被さる花渡の間に自分の身体を差し込む。
「二本同時に握って擦るってやったことないけど頑張るよ」
「お、おおー。じゃあ俺はマグロってるね!」
三人どころか、恋人とまともにエッチもしたことない俺らはぎこちなくて、本当は二回目のはずなのにぎこちなくお互いの身体を触りだした。
俺がクスクスと笑うと、暇は緊張していた身体から力を抜かせてベッドに沈んでいく。
花渡は俺に触れ、お互いに触り合い高ぶらせていた時に、後ろに手を回し指で探るように撫でだした。
「え、まじで、そこ」
「なんで恥ずかしがるんですか? 一度、玩具で弄んだことがあるはずですが」
玩具と好きな人の指は全然違う!
当たり前だろっと言おうとしたが暇も不思議そうだった。
二人に伝えないといけないとはこの先前途多難だとしか思えない。
「二人とも初めてだろ? 俺、後ろ慣らしといてあげるから俺の上でチュッチュッしときなよ」
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