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その日から始まったんだ。①
ルイくんを半分ぐらい襲って、互いの乱れた痴態を晒しつつの4Pをして二週間ぐらい過ぎたかな。
暇に「いや、あれって4Pじゃないよな?」と聞かれ、俺が知るわけないじゃんって言い返すと、「受け同士のキスが可愛いって感じのエッチは、浮気じゃないしなあ」と全く謎理論の話を展開し出した。
まあ、俺とルイくんが女みたいに喘いだんだから、あれはお互いのエッチを見せっこした感じなのかな。
というか、さっきからなかなか本題に入らない。
いつの間にか暇の身の上の話まで始めてしまう始末。
「でさ、俺は財産放棄したし、俺には完全に手が引いたわけよ」
「ふーん。良かったじゃん」
暇に呼び出され、デートクラブ事務所に到着したものの指名は0。暇が俺を指名することは花渡が禁止しているので、俺たちはここでは客とバイトではない。
なのに、ここに呼び出され何を言われるかと思ったら、それはそれはめんどくさいお願いだった。
ルイ君が今月で俺の指名を解除すると言っていた。
つまり来月には彼女と婚約してしまう。
俺と暇と花渡は、腰まで浸かってもう抜け出せないけれど、ルイ君は違う。
ちゃんとお金で買った時間だと、割り切って溺れずに済んだ。
だからルイくんが辞めるなら、俺ももうこのデートクラブは辞めるつもりだ。
「ねえ、吾妻、ちゃんと聞いてる? だからさ、一カ月、兄貴の恋人のふりしてくんねえ?」
「……はあ?」
「だから、兄貴が九州のヤクザの後継者候補になりそうなんだ。俺みたいに兄貴もホモだってことにすればきっとあいつらも諦めるって」
暇が後継者候補から外されたせいで、次は兄貴ってわけか。
あの件は、俺がルイくんの権力を使っちゃったから色々ややこしくしたしなあ。
「うーん。じゃあ暇の兄貴の会社の玩具、いっぱい報酬としてくれるならいいよ」
「もちろん、今日使う? めっちゃ使う?」
「おや、私では満足できませんでしたか」
俺と暇がにやにやと話していると、花渡もやってきた。
花渡は露骨に嫌そうな顔で社長と何か話ながら、ため息を吐き俺を見る。
「デートクラブの会員をざっと見ましたが、吾妻さんより素敵な人たちはいませんね」
素で、俺の事を褒めてるんだよ、この人。
俺のこと、めっちゃ好きなんだぜ、この人。
「まあね。俺以外なんていないっしょ」
「うちの社長はノンケなのですが、……吾妻さんのお色気に目覚めてしまわないか心配です」
「……」
花渡が真面目な顔でそんな事を言うので、俺も暇も顔を見合わせて、開いた口をお互い閉めた。
「じゃあ社長さんにこの会員の顔を見て決めてもらいましょう。女の子みたいな子もいますやろ?」
「いえ。はっきりゲイだとアピールしたいので、男らしい感じか綺麗な感じで」
「じゃあやっぱ俺しかいないのかあ。困るなあ」
ニヤニヤ笑っていると、花渡は難しそうな顔でこっちを見る。
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