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対極的恋愛④

「しんじらんなーい」 「大丈夫だってば。安心してよ」 「意味分かんないから」 きらりちゃんは不機嫌そうだったけど、しょうがないじゃん。 俺だってタイプってもんがあるわけで。 女が嫌いだから男で性欲発散ってわけでもないわけで。 「俺、真正のゲイだから。可愛い女の子じゃ起たないんだよ。可愛いきらりちゃんがわるいんだってば」 「もー。信じられないってば」  なんとか宥めて、監督の了承ももらって目隠しのネクタイをもらう。 自分を目隠ししつつ、思い出すのはこの前のルイ君。 あのギャップは良かった。 ちょっと子どもっぽい素振りで、簡単に真っ赤になるくせに、自分から腰振って動いてたんだよね。 多分初めてではない、のに初めてみたいな演技。 吾妻の前だから猫かぶってたのかなって思ったんだけど、最後まで純情な青年みたいに抱かれてた。 後腐れなく一度きりでいいと思ってるのも本心みたいで、俺のファンだと言いつつも連絡先なんて聞かなかった。 あんな何を考えてるのか分からない、最後まで正体不明な子は面白かったな。 「よし、起ってきた! 監督―!」 「……まじ最悪なんですけど」 ぞろぞろとスタッフや監督が部屋に戻ってくると、きらりちゃんも演技に戻ってくれたのでが頑張って腰を振る。 奥に当たる感じは、嫌いではない。奥に侵入してやった達成感と言うか、満足感と言うのか。 愛ではない感情でも、達してしまえば俺は満足なんだと思い知らされる。 「あっ……ンンっ、イ、イイ」 「好きだよ、イっていいよ」 カメラの前では、歯の浮くようなセリフは吐けるのに、現実では言ったら死んでしまうんじゃないかってぐらい言わない。 だから幸せは振ってこないわけで。 俺は、愛以外で幸せや満足や達成感を補わないといけない。 スポーツみたいな、ゲイ男優って仕事でも全てが満たされるわけじゃない。 撮影が終わって、きらりちゃんがシャワーに消えて、監督に肩を叩かれた。 「隣にシャワー室あるから、お前も浴びてさっさと逃げてしまえ」 「え、このあと打ち上げは?」 べたべたな身体を適当に拭いていると、首を振られきらりちゃんの方のシャワー室を目配せしてうんざりそうに小声で教えてくれた。 「きらりが睡眠薬を用意してるとよ。あいつ、お持ち帰りした相手役、仕事以外でも喰ってるって噂だ」 「うへぇ、まじっすか」

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