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対極的恋愛⑦

「だって、ぱあっと使いたいんだもん」 「そうやってフラフラしてさ、老後に蓄えろよ」 「俺、若く死にたいから」 老後の心配をしてる吾妻が可愛いなあってにこにこ見ていたら、ふっと真顔になってそっぽを向かれてしまった。 「あのさ、俺たちいつまでもこのままでいいわけねえじゃん? や、――俺はこのままでもいいんだけど、お前はよくないじゃん」 せっかく、一杯何千円、何万円するお酒を前に、吾妻の深刻そうな顔を見れば面白くない話だと分かった。 「分かってる。結局は二人の真実の愛の前では俺は邪魔なんだよ。二人は普通になりたいんだ」 「暇」 「俺、今日はこのまま吾妻と一緒に裸になってベッドに寝るつもりだった。いや、そうじゃなきゃ今日は眠れねえ日だし。でも二人の愛の前でそれが不誠実なら俺はお前に金を渡すよ。前みたいに」 「……」 「俺は面倒なこともエッチもいいから、吾妻と花渡の傍に居たかっただけなんだけど、何で世界はそう上手く回ってくれないんだろうね」 面倒だ。こっちは息をするのさえ嫌な世界なのに。 「食べたら、ベッド直行でいい?」 味なんてわからないメシをフォークで押し込みながら言うと、吾妻は首を振る。 「シャワー浴びたい」 Side:吾妻 暇が風呂に入れるピンク色の入浴剤を見つけ入れると、部屋中に飾ってある花を持って来て、俺に一輪差し出して来た。 花特有の青臭い匂いの中、ピンク色の薔薇を。 「湯船が見えなくなるぐらい、花びらを撒いてみたかったんだ。やろうぜ」 「面白そうだけどさ」 発想が子どもだよね、と思いつつプチンプチンと一枚ずつ花びらを散らせていく。 暇もどんどん花びらを撒いている。 「ピンク、黄色、赤、青っぽい色って少ないよね」 暇が飽きたのか、浮かぶ花びらを見て唇を尖らせる。 「青系の色って食欲を撃退させる色じゃん。だから、花も食べてほしくないって思った花は青い花なのかね」 「だったら食べてほしい花たちはもっと露出するんじゃないのさ」 「どうだろ。でも青い花って品種改良されて産まれ出してるからね」 「食べてほしくないって言ってる花を増やすなんて鬼畜だな」 ケラケラと笑っていると、暇は顔を近づけて口づけをしてきた。 角度を変えて何回も。 そのたびに水面の花びらが沈んだり泳いだり。

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