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対極的恋愛⑬

「……面倒だから要らねえってば」 「まだこの口はそんな事を言うか! ほら、花渡、お仕置きだ。正直な下の口にお仕置きだ!」 「吾妻さんは、AVの見過ぎです」 俺の茶化しに、流し目で簡単に注意した後、まるで初夜のように優しく暇に触れた。 眉をなぞり、頬を撫で、唇の形を指先で形どる。 薄く開かせた唇に、指を入れて大きく開いた後自分の舌を入れた。 暇は気付いていないのかもしれないし、無自覚なのかもしれない。 けれど、仕事じゃないエッチでこんな風に反応して、気持ち良さそうに顔を蕩けさせるのは花渡だけだ。 最初から、自分と似ている何かを花渡に感じて惹かれていたんじゃないかな。 その中で、花渡に俺と言う恋人が出来て暇は安心して、混ざろうとした。 それは恋よりもややこしい迷宮の中に埋もれた、答えとも言えない感情の芽生え。 自分で分からないのは、迷子で、答えを自分ですら見たことが無いんだと思う。 花渡の欠けているものは多すぎて、きっと俺と暇で埋めたら丁度いいぐらいだと思ってる。 「身体は正直なんだから、暇ってば」 気付けないほど、ずっと迷子の暇が愛しい。 そりゃあ、恋人になりたいって甘い気持ちじゃなくても。 暇と花渡がキスしてたら、複雑な気分になっても。 俺は暇は暇として否定したく無かった。 「私は、誇れる生き方をしてこなかったんですがそれでも、吾妻さんに好意を持たれて、広がった世界の中、愛情と言うものが芽生えてきて、複雑ですが愛しいし幸せなんですよ」 「俺は別に、そんなの知りたくないし」 「……素直じゃないところが、可愛いですよね」 花渡はすすすっと暇のお腹を人差し指でなぞり、下半身へ降りて行くと俺の方を見た。 「任せて!」 以心伝心と言わんばかりに、俺はくるろと体の向きを変えて暇の顔にお尻を押しつけるように座る。 ぐりぐりと押し付けながら、硬くなった根元を握り、再び口の中に入れて扱く。 そして今度はちゃんとローションで指を濡らし滑らせながら、暇の中に一本指を侵入させた。 「んんんーっんんー」 俺の尻の下から聞こえる、くぐもった暇の声を無視して俺は舌で溢れてくる先走りを舐めとっていく。 「……後ろの経験はまだないんですね。あんなに作品に出演しているのに、ここは全然素人みたいで面白いです」 「んんっんっ」 「自分で腰を動かして、イってみてください。出来なかったら、――私の高ぶったものを此処にねじこみますよ」

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