97 / 132

対極的恋愛⑮

「も、……で、ちゃっ、う」 「――良いですよ。どうぞ、いくらでも」 「だっ……、一緒が、いい」 花渡からの快感で、吾妻の目はうっとりと濁っている。 俺への口の奉仕も忘れて、ただただ穿つ律動に腰を揺らして深く深く味わおうとしている。 「分かりました」 にやりと唇の端を上げて笑った花渡は、何故か吾妻を俺の方へ向ける。 中に入ったままぐるりと方向転換した吾妻は、身体をびくびく動かし、仰け反らせていた。 今にも爆せそうな、頭を持ち上げて震えている肉茎から、とろとろと先走りが落ちて俺の胸にかかった。 「吾妻さん、自分のモノですよ、舐めてください」 「ひゃっ」 頬を真っ赤にした吾妻が、俺の胸に落ちた先走りを舐め取りながら、熱く潤んだ目を顔に近づけ、俺の唇に自分の濡れた唇を重ねた。 快楽でぶっ飛んだのか、可愛い顔でエロいんだから堪らない。 ちゅっと唇に吸いついていたが、急にずんっと体重がかかって俺の身体がシーツに沈む。 「イきますよ」 花渡が、吾妻を俺の胸と自分の胸で押しつぶす様に挟み、俺を睨みつける。 吾妻を抱きながら、俺を睨むその目に俺の身体がぞくぞくと興奮していく。 「ああっ おく、いぃっ」 吾妻が可愛い声で喘ぐのに、今は花渡に目が離せない。 快楽に飲み込まれまいと苦しそうな花渡が、快楽に飲まれ真っ赤になりながら俺にキスする吾妻の耳を噛む。 そのまま大きく吾妻が仰け反って、俺の腹に爆せた精液をかける。 糸を引きながら唇が離れたと思ったら、花渡が俺の肩に噛みついた。 そして大きく腰を振りつつ、イッたばかりの吾妻を追い詰める。 「まっ俺、イッた。いったばかっ――んんんんっ」 放たれたソレが潤滑剤の代わりになって、吾妻の腹で俺も刺激されぬちゃっと水音とともに高ぶっていく。 ――好きになってはいけないんだ。 ふっと頭に過ったその言葉は、思い切り噛んだ花渡の歯の強さに消えていく。 「くっ」 痛いのに、気持ち良くて重たくて息をするのも苦しいのに、キスが甘くて。 花渡がイッたと同時に、俺も吾妻の腹に放ってかけてしまったのだった。

ともだちにシェアしよう!