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対極的恋愛⑰

「それまで保護していてもいいですよ?」 花渡も吾妻も気付いていない。 俺の身体が反応した理由。 俺がほしいって思ったのは花渡だって。 エッチなしで傍に居てほしいのは吾妻で、めちゃくちゃにしてほしいなって相手は花渡。 自分でも気づかないうちに、惹かれてたんだよなあ。 何処が好きなのって聞かれたら、恋する少女みたいな理由は出てこない。 ただ欲しい、それだけのこと。 それなのに、俺がいつか衝動的な恋愛をしてしまうんじゃないかって、起こるはずの無い未来を心配してる。 花渡の目には、愛おしいって相手は一人で、それは吾妻ってわかってるのに。 滑稽だけど、なんだか二人の不器用な愛を感じた。 寂しいのに心が温かくて、嬉しいのに胸が痛む。 一番俺の心に触れてくれる二人さえ、気付かない俺の心。 「じゃあ、そうしよっかな。三人でエッチの度に、俺だけ放置されて二人盛り上がるってよりはマシだし」 痛む、のは。 心。 痛むのは、触った身体。 けれど、二人の気持ちが嬉しくて自分から逃げることはできなかった。 「では、寝ましょうか。流石に何度も何度も疲れました。私が一番年上なので寝ます」 「俺も一番身体弄られた人だから、寝る。明日三限目からだから、暇起こして」 二人は俺の言葉に安心したのか、眼鏡を外したり枕に手を伸ばしたりして、俺の横で眠りだした。 ダブルベットは、男三人で眠るには少し窮屈で互いの身体を引き寄せて、落ちないように眠っていた。

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