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永遠ではないらしい②
ベッドで絡みあう手、探り合う指先。
ルイ君とは、綺麗な恋愛をしているような錯覚に陥った。
お互いの良いところしか知らない、優しい恋愛。
そんな嘘の世界の平和な恋愛。
現実はもっとどろどろしてて、奇跡なんて無くて、努力しても避けられないこともあって楽なことはない。好きになればなるほど苦しい。
けれど苦しいけれど、相手が同じくらい気持ちを返してくれたら愛しくて狂いそうなほど幸せだった。
腕枕をしてあげたら、女の子みたいに喜んでくれた癖に、『なんかやっぱすごい負担かかってるよね』とすぐに離れようとしたので引き寄せた。
するとクスクス笑いながら、口を開く。
「あっくん、俺ね、もう就職先決まっててね、……実績を蓄えた後、父と同じ議員になると思う」
「すっげ。応援してるわ」
「うん。頑張って、あっくんと花渡さんが結婚できる法律でも作って見せる」
「格好良いこと、言ってくれるじゃん。楽しみにしてるよ」
その法律は俺の為で、ルイ君の為ではなかった。
最後の夜は、甘くて、夢の中の楽しい部分だけを切り取った恋愛で、けれど目尻を一滴だけ涙が流れ落ちたのだった。
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「……ルイ君」
朝、起きた時にはもういなかった。
テーブルに置かれたお金は、何の意味をもつのだろう。
お金は、ルイ君の父親がうちの会社に直接一括で払ってくれてるのに、なんで現金を置いていくんだ。
俺とルイ君の関係を終わらせるための、お金だったんだとしたら少し辛かった。
何が辛いかと言うのは言い出しずらいのだけど、敢えて言うとすれば消失感。
最初から俺のモノではない彼を、何故か俺は失った気がして凹む。
「慰めてくれる?」
何もする気が起きなかった俺は、迎えに来てくれた花渡を押し倒して聞いてみた。
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