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お仕置き②

「今日?」  社長の言葉に面食らう。俺がOKして数分しか経っていないのにがっつぎすぎだろ。 でも、早く遊んでしまって、ルイ君みたいに婚約者だけをみてあげたいのかもしれない。 でも、うーん。 ま、いいか。 俺抜きで二人が待ち合わせしてるのって珍しいから何かあるのかなって単純にそう思ったんだけどしょうがないか。 『ごめん。最後に一晩仕事入った』 向こうの身分は提出しないといけないし、大体身分のある人は優しい。 から、油断してたのかもしれない。 返信を待つより早く、社長に言う。 「良いですよー。でもこれで本当に最後なんで」 「もちろんよ、もちろん」 ウキウキ気分の社長にも違和感があった。 一体、いくら摘まれたんだろう。 一度だけ着信が来たけれど、移動中にマナーにしてからかけ直さずにそのまま仕事へ行った。 ラブホに行く前に、カフェで待ち合わせ。 社長曰く、花束を持った人らしい。 でっかい花束なら悪目立ちするかなって思ったけど、カフェに居たのは高級時計をわざと見えるように何度も時間を確認する爽やかなリーマン。 「リョウさん?」 俺が近寄ると、テーブルには一本だけ包まれた薔薇の花とこのカフェのテイクアウトだろうケーキ。 俺を、大きく見開いた目で見た後、なんだか値踏みするようにじろじろ見てくる。 なんかねちっこいその視線に思わず平伏してしまう。 「……違うの。違わないの?」 一向に返事をしない目の前の男に、いらっとしてそう言うとハッとして薔薇の花束とケーキを差し出して来た。 「ごめんね。こんな綺麗な子が来るとは思わなくて。はい、プレゼント」 「どうも」 キザったらしいなあって思ったけど、プレゼントをくれる人は珍しくない。 「では行こう。リョウさんの車ってどこ?」 「すぐそのこパーキングだよ。君みたいな子を連れて歩けてちょっと鼻が高いな」 俺はアクセサリーじゃねえよ。単純にそう思いつつも仕事なので笑顔でパーキングへ向かう。 目立たないけど、女が喜びそうなプレゼント。 その上、自分は着飾ってるけど安いプレゼント。 爽やかで見た目は悪くないけど、人を値踏みしアクセサリーみたいに思ってる。 うーん。なんか俺も最後の仕事相手にしてはあまり好きになれなかった。

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