107 / 132

お仕置き③

「へー、ラブホってこんな感じかあ」 暇が毎月俺を呼んでいた場所はレトロな旅館だったし、ルイ君は高級ホテル、あとのデートは大体買い物とか食事。 こんな風に、待ち合わせから直行でホテルは初めてかもしれない。 「シャワー先に浴びる?」 リョウさんに言われて、お風呂も覗く。 うわあ、脱衣所と風呂場の壁が窓ガラスみたいに吹き抜けだ。 「えー、別に入らなくても良いかな。朝入る」 「そう? じゃあ何か食べる?」 レストランみたいにメニュー表があって手渡された。 リョウさんは手慣れているのか、テレビをつけたり照明を調整したりリラックスしてる。 「リョウさんは何食べるの? ってか、ラブホに連れ込んで、何がしたかったの?」 恋人ごっこだけなら、見せびらかすみたいに高級レストランとか連れ回してくれる人の方が多いのに。 この人は誰にも見られない場所で恋人ごっこ。 だから疑問に思ったのに、リョウさんはクスクスといやらしく笑う。 「話が早い。流石、VIP専用の№1。俺の目的が分かったのかな」 メニュー表を俺から奪うと、隣に座らされ耳元で生ぬるい息を吐きながら囁く。 「何万で本番させてもらえるかな?」 肩に手を回して、口説くみたいな甘い声で、気持ち悪い。 「あのさ、うちはフーゾクじゃねえよ。デートクラブ。本番はしない」 「……でも君はVIP用の特別な役だろ」 「俺は、この会社の重役の息子で、社会勉強って言ったら分かる? あんたの会社より人脈があるんだけど」 嘘。けれど、身分証明をうちの会社に人質に取られている会員にはこのはったりは効くと、店長が言っていた。 「まじで?」 「そ。残念でした。フーゾク行くんだな。で、泊まりから休憩に変える?」 頭悪そうだけど、無理やり襲って来そうな体育系でもなさそうなので、俺は冷静に対応してみた。 けれど、リョウさんの反応は俺の想像していたものではなかった。 俺の言葉に、リョウさんはベッドの上で土下座していたんだから。 「え、なに? なに?」 「実は、魔がさしたんだ。俺はホモじゃない。けれど、魔がさして、男の子を襲ってしまったんだ」

ともだちにシェアしよう!