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お仕置き⑥

「やはりサプライズっていうのがいけなかったですね。連絡していたら来ていたでしょうし」 「まじめか」 「まあバイトを止めてくれるっていうのが嬉しいのは私のエゴですので」 自分だって全うな道を歩んできたわけじゃない。吾妻さんに自分とは違う正しい道を歩んでほしいと言うのは私の勝手だ。 そもそも、私と恋人になった時点で、全うな道から外れているのに、それを押しつけるのは些か理不尽かもしれない。 そう考えながら、オリジナルカクテルを一気飲みした。 さっぱりした青色の中に、ビー玉みたいな色とりどりの氷を入れてある。 オリジナルカクテルは暇さんからのプレゼントだったけど、これは見た目も可愛いので喜んだだろう。 せめて写メでも撮ってやろうかと鞄に手をいれたら、突然暇さんが私の頭を撫でた。 セクシャルな感じではなく、よしよし、なでなで、みたいな。 「なんでしょうか……」 「いや、忠犬の花渡が愛おしくなって」 そのまま鞄にいれた手を引き寄せられて、暇さんの胸と鼻が当たる。 「あのう……一応、ここ、暇さんのお知り合いのお店ですよね」 「そうそう。だから気にしないで。それにここは半個室だし」 「なんか、吾妻に振りまわされてる花渡が可愛くて」 「そうですか。まあベッドの中では暇さんの方が可愛らしいですけど?」 暇さんの後ろを開発して、あんあん言わせてみたいと思ってはいるが、この人、快楽とか恋情とか認めて下さらない頑固な方ですから。 「そーゆうんじゃなくてさ。エッチなしの二人の時は、俺に甘えてもいいよ。俺も全力で甘えるし」 「そうですね。いつも甘えてばかりですね」 甘えてほしい時に甘えないけれど、暇さんはなかなか芯を持ってらっしゃる方だから、私には本当につらい時は甘えて下さらないだろう。 「……実は、向こうにVIPルームがあってさ。今日はそこ、三人で過ごそうって思ってたんだけど、二人でも行ってくれる?」 「……? もちろん、暇さんなら構いませんよ」 「吾妻抜きでイチャイチャしたら、吾妻怒らない?」 「まあ嫉妬はしますが、暇さんならいいでしょ」 ようは吾妻さんにふられた私を慰めてくれようとしているのだと気付き、暇さんが可愛らしく思えた。

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