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お仕置き⑪
聖の彼氏が名刺をくれたので、それを頼りにBARに押しかけると、すんなりと暇たちの場所が特定できた。
奥の部屋に行くと、甘ったるいアロマの匂いがする。
「暇? 花渡?」
恐る恐るカーテンを開けると、ソファに花渡が座っていた。
「――吾妻さん」
「ごめ、俺」
「お仕事、大変でしたね」
にっこりと、お人形みたいに花渡が笑うので、俺は固まる。
これは誤解されてる。絶対誤解されてる。
「あの、ちが、言っとくけど、本番行為は全く無くて、あのさ」
「吾妻、言い訳は見苦しいよ」
すぐ隣から聞こえた声。
横を向くと、壁にもたれた暇が、冷たい目で俺を見下ろしていた。
手には、ネクタイを持っている。
「――や、ほんと、意味分からない。仕事だし、本番してねぇし」
「じゃあラブホにいく必要なかったじゃん。どこまでしたの?」
「待って。ほんと、待ってってば、俺が働いてるのはデートクラブだし。ルイ君以上の事はしてないよ」
「ルイ君とどこまでしてたか知らないけど、――バイト止めるって言った日にラブホってさあ」
暇がいつもみたいににやにやおちゃらけていないので不安になって花渡を見る。
すると花渡が優雅に足を組みかえながら、妖艶に唇だけ上げて微笑む。
「私は、吾妻さんがとても愛おしいので信じていますし、怒っていませんよ」
「花渡っ」
「でも、吾妻さんを祝おうと、暇さんと一緒にオリジナルカクテル作ったり、プレゼント用意したりして――それを蔑ろにされたことには暇さんも怒ってるみたいで」
「ええ?」
驚いた俺の片手にネクタイを結びつけられる。
「吾妻ちゃんは、確か玩具は苦手になっちゃったんだっけ? じゃあ玩具では苛めてあげられないかな」
「い、暇」
「花渡は吾妻の恋人でしょ? じゃあデートとはいえラブホに行ったらダメでしょ」
引っ張られて、ソファの肘起き部分にネクタイの反対側を結び固定される。
見上げると、ちょっと楽しそうな花渡の顔があった。
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