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第2話

 レジでお客さんが買いに来た商品のバーコードを読み取っていると金髪の外国人が拙い日本語で道を訊いてきた。そばかすがあるがとても可愛い女の子だ。この近くにあるカフェの場所が知りたかったらしい。場所を身振り手振りで詳しく説明してあげる。 「有難う」 「いいえ、気を付けて」 「お兄さん、彼女いますか?」  え、彼女?いるわけがない。彼女が居たら大樹なんかと年越しをする訳がない。俺が手を左右にブンブン振ると女の子はスマートフォンを取り出した。綺麗な細い指で画面を表にしてラインの画面にした。 「あ、ライン」  俺は画面をガン見する。熊さんの絵があった。 「あの、教えてください」  俺はラインのIDと名前を教えた。飯塚音々です。女みたいな名前でしょ。そう言うと女の子は、ふふふと笑った。 「ネオン、綺麗な名前ですね」  そうかな。外人からしたら、男らしい名前も女らしい名前も関係ないのだろう。俺のお母さんは女の子が産まれると思っていたから音々なんて可愛らしい名前を付けたんだ。女の子は恥かしそうにして、それでも名前をリリアンだと教えてくれた。

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