7 / 9

第7話

 お父さんとお母さんが買い出しに行くと言ったスーパーは家から車で15分ほどの場所だ。衣料品売り場もフードコートもある大きなところだ。俺はドーナッツを頼む。食後に甘いものが食べたくなったし、おやつにしてもいい。大樹の分も買って来て貰おう。コンビニの給料の中からお金を渡すと、お母さんはにっこり微笑んだ。 「音々はちゃんとしてるんですね」 「はっ、何が?」 「お金のこと」 「ああ、仕事してるんだから当然だろう」  俺はそう答えると、早く行けと言うように手をヒラヒラさせる。お母さんは私の分も買わせてもらおうと意気込んで出掛けて行った。  テレビを点けるとニュース番組の1年の総まとめをやっていた。俺はたいした興味もなく、それを見て、スマートフォンを弄る。リリアンちゃんからラインが来ていた。大樹が来るまでと思って、やり取りをする。リリアンちゃんは今年の終わりに失恋したばかりらしい。母国の国旗を編み込んだマフラーをクリスマスに好きな子に渡して撃沈したのだという。俺はリリアンちゃんの生まれた国を訊いてみた。イギリスだとメッセージが返って来た。ドキッとした。まさか大樹のマフラー。「好きな子って高校生?」そうメッセージを送ったら、イエスだという。大樹かな。

ともだちにシェアしよう!