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第8話
1時間後くらいに家のインターホンが鳴った。俺はバタバタと玄関に行ってドアを開ける。はにかんだ可愛い顔の大樹が立っていた。首には例のマフラーを巻いている。
「雪、降って来たよ」
「ああ、積りそうだな」
「あがれよ」
俺はリビングに大樹を案内すると、ソファーに座れと手で示した。キッチンに行きインスタントコーヒーを淹れる。冷蔵庫を開けて牛乳を出した。大樹はミルクたっぷりのコーヒーが好きなことを知っている。俺はテーブルに不愛想にマグカップを置いてソファーに腰かけた。そのマフラーは外国の女の子からのプレゼントだろうと言いたかったが言葉に出来なかった。
「雪、積もったらさ、溶けるまで泊めてくれよな。この辺坂道多いじゃん、滑って転んだら大変だろう」
「なっ、何言ってるんだよ、何処で寝るんだよ」
「音々のベッド」
「はあ!?」
「俺がいたら困るのか?たまってたら抜いてやるよ」
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