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3-3 合コン ~ケンイチ~
食事を終えて、俺はカオルを連れて、静かなバーにやってきた。
ソファに並んで座って、ゆったりと酒が飲める。
それにしてもおかしい。
食事の途中からカオルの元気がなくなってしまったのだ。
「なぁ、カオル。俺、お前を怒らせることをしたか?」
「あっ? うん。なんでもないよ」
カオルは、弱弱しく微笑み、すぐに浮かない顔をした。
それにしても、今日のカオルのドレス姿。
すごく、大人っぽいし、それにエロい。
肩や袖はレースになっていて、透け感がたまらない。
ワンピースのスカート部分も、すっと流れるようなシルエットなのにふわふわっとしていて大人可愛い。
完全にオレ好み。
「なぁ、カオル。何度も言うようだけど、今日のそのドレスさ。すごく似合っているよ」
「そう……」
「なんか魅惑的っていうか。その、ふんわりしているのな」
「ああ……」
「あとな、メイクもちょうど大人っぽくてさ、そのドレスにあっているっていうかさ。アクセもそうだな。ほんと、最初、カオルってわからなかったもんな」
「うん……」
「前のミニスカート姿もよかったけど、やっぱりこのドレス姿は方がいいな。ああ、でも、ゴスロリは一番と言っておこうか? ははは」
「ゴスロリ……」
カオルは、そう言って顔を曇らせると急に泣き出した。
俺は、どうしたらよいのかわからずに、カオルを抱きしめた。
「大丈夫か?」
「うっ、うっ」
カオルは、嗚咽を漏らしながら、泣き崩れるのを必死に我慢している。
「なぁ、どうしたんだ、カオル。せっかく褒めているのに」
「うっ、うっ。違うんだ。ケンイチ……ごめん、オレのこと、褒めてくれているのに……」
「なんだよ。何があったのか話せよ。なぁ、カオル」
カオルは、うつむきながら呼吸を整えた。
そして、ふぅっと深呼吸して話し始めた。
「オレ、嫉妬しているんだ。きっと……」
「ん? 誰に、何をだ?」
「……お前、本当に鈍いな。まぁ、いい。簡単に言うと、例のアイドル。お前が推している子」
「あー。ゴスロリにゃんにゃんのな。俺推しの子か? それで?」
「お前、あの子と、オレ。どっちが可愛いと思う?」
「へっ?」
俺は、カオルの質問の意図が分からず呆けた。
俺推しの子とカオル?
その比較に一体何の意味が?
「正直に言ってくれ。じゃないと、オレはお前と絶交しなくちゃいけなくなる」
「なっ、なんだよ。大袈裟な……絶交とか」
「大袈裟じゃない。さぁ、どっちだ」
カオルは、俺を脅すように迫ってくる。
俺推しの子。
カオルには言っていなかったけど、最近変えたんだよな……。
だから、カオルが気にするほどの子じゃないのだが……。
「うーん。ちょっと言いずらいな……」
「……やっぱりか……わかったよ。ケンイチの気持ち」
カオルは、落胆しうなだれた。
「まぁ、まてよ。早合点するなって。まだ、何も言ってないだろ」
「いいよ。答えを言ったようなものだろ……」
カオルは体を小刻みに震わした。
また、泣くのを我慢しているのか?
しょうがない。
「はぁ、じゃあ言うけど……カオル。お前のほうが断然可愛い」
「へっ?」
今度は、カオルが驚いた顔で俺を見た。
ぶっ。
お前、何て顔してるんだよ。
そんなに驚く事ないだろう?
「お前な、今まで、何度も言っているのに聞いていないのかよ。お前の女装姿って俺のどストライクって」
「だけど……あの子にオレが似ているから、オレの女装が好きなんじゃ……?」
「はぁ? お前なぁ、逆だって。お前のゴスロリ姿を見て、あの子推しに変えたんだよ。だって、お前にちょっと似ているんだ……あの子」
俺は、そう言ってから猛烈に恥ずかしくなった。
やべぇ。
なんか、これじゃあカオルに告白しているみたいじゃんかよ……。
しかし、カオルは、まったく気付いていないようで、それはそれで助かったのだが。
「マジか……」
「マジだ」
カオルの顔に生気が戻った。
そして、顔を間近にして俺を睨む。
「ケンイチ! お前、それなら、そうと早く言えよ」
「お前、バカか! そんな恥ずかしいこと、言えるかよ!」
「そっか……オレのほうがいいか……そっか……」
「まったく、そんなことで、しょげていたのか? カオルは」
「うるせぇ、いいんだよ。よし、なんだか、喉が乾いてきたな。ケンイチ、今日は飲もうぜ!」
「ぶっ! なんだよ。急に元気になって。ははは。まぁ、よかったよ。いつものお前に戻ってよ」
やっぱり、カオルはこうじゃなきゃ。
容赦ない口調、ころころ変える表情。
うん、お前、やっぱり可愛いよ。
「さぁ、まず、オレのドレスを褒めてくれるところからやり直すか。ケンイチ頼む」
「おっ、お前なぁ……。ははは。まぁ、いいけどよ」
それにしても、一体なんで、落ち込んでいたんだろうな、カオルは。
アイドルと張り合って……。
まさか、あいつ、アイドルを目指そうってんじゃ……。
まぁ、カオルがアイドルになったら、俺がファン一号だな。ははは。
「おい、ケンイチ! なに笑っているんだよ。何がおかしいのかオレにも教えろよ!」
「それは、ちょっと教えられないな。代わりと言ってはなんだけど……」
俺達は、いつものように話し始めた。
楽しくて、心くつろぐ時間。
うん。
俺が求めていたのはこれだ。
俺達は、すっかりいい気分で酔っ払っていた。
カオルの卒業に合わせて、「卒業旅行へ行こうぜ!」って事になり、「じゃあ何処に行くか?」で盛り上がりをみせる。
俺は、スノボー。
カオルは、遊園地。
「ケンイチ、お前なぁ、オレがスノボー何てできるように見えるか?」
「確かにな」
「確かになって何だよ!」
「ははは。大丈夫だって、俺が教えてやるって」
ふと、カオルは、とろんとした目で俺を見つめてきた。
「なぁ、ケンイチ。オレ、ちょっと飲み過ぎたみたいだ」
「それだけ飲めばな」
カオルは、脚を組みなおした。
スカートがふんわり流れるように脚に沿って形を変える。
俺はついそれに見とれてしまう。
脚の付け根部分をチラッと見た。
この間の飲み会で見たカオルの下着。
今日も、同じような下着を穿いているのだろうか。
そして、その中には、男のものが収まって……。
ああ、見たい。
そして、触れてみたい。
そうしたら、カオルはどんな表情をするのだろうか?
今よりも、もっともっと可愛くなるだろうか?
俺は、この変態的な感情にうまく整理が出来ないでいる。
女装した男のあそこを触ってみたい、だなんて……。
前回は、カオルを泣かせてしまった。
俺も何も分からず勝手に手が出ていた、というのが正しい。
それで、あぶなく嫌われるところだった。
男に股間を触られるって事は、確かに気持ちの良いものではない。
それは分かる。
でも、過去には勃起した状態でお互いのものを触り合った仲。
泣くほどの事か? と思うに至った。
急だったので、単にビックリしただけでは?
俺は、そんな都合の良い理論を組み立てていた。
「なぁ、カオル、遊園地だったら何に乗りたい?」
俺は、さりげなくカオルの腿に手を置いた。
カオルは、体をビクっと震わせた。
横目で俺をチラッと見たが、何でもないように話を続けた。
「そうだな、まずは、ジェットコースターだな」
「ジェットコースターね。次は?」
俺は、スカート越しに腿を撫で始めた。
カオルの腿の柔らかさとスカートの生地のすべすべ感が堪らない。
「うーん。お化け屋敷とか?」
カオルは、澄ました顔をしている。
でも、くすぐったいのか、気持ちいいのか、体をソワソワさせた。
「お化け屋敷は俺はパスだな」
「ケンイチ、怖いのかよ。ははは」
カオルは、俺の手の上に手を乗せた。
はっ。
やっぱり、いやだったか? 俺の愛撫……。
その後のカオルの行動は予想外のものだった。
娼婦のような妖艶な眼差しを俺に向けたかと思うと、俺の手をつかんで、スカートの中へいざなったのだ。
そして、カオルは、何事もなかったかのように話を続けた。
「なぁ、ケンイチ。お前は、何に乗りたい?」
カオルの生脚。肌の感触。
あったけぇ……。
はぁ、はぁ。興奮する。
「俺か? 俺はな、観覧車かな?」
さりげなく、腿を触りながら、脚の間に手をスッといれた。
カオルの内腿……なんて、やわらけぇんだ。
ああ、だめだ、興奮する。
「お前、意外とロマンチックなんだな……はぁ、はぁ」
「まぁな」
カオルは、少し息を荒げ、頬を赤らめた。
やべぇ。
可愛い。お前、可愛いすぎ……。
俺の全神経が手に集中している。
少しづつ、手を股の方に進める。
そして、柔らかい布に触れた。
カオルのパンティーだ。
カオルは、澄ました表情のまま、すっと少し股を開いた。
いいのか? 男の俺が触っても?
俺は、カオルの顔をそっと伺った。
カオルは、目を潤ませて、恥ずかしいそうに、コクリとうなずくと、すぐに目を逸らした。
可愛いよ。カオル。
はぁ、はぁ。そそられる……。
俺は、パンティーのこんもりとした丘に手を触れた。
やっぱり……。
こんなに固くさせやがって。
女のパンティーじゃ窮屈そうだな。
ああ、思い出すな、中学の時。
エロビデオを見ながらの勃起勝負。
あいつのは小さいくせにカチカチだった。
今のお前のも負けないくらい固い。
俺は、カオルの形に合わせて、パンティー越しに擦りだす。
はぁ、はぁ、と、カオルは、すまし顔のまま、吐息を熱くさせる。
カオルの快楽に溺れてよがる姿。
ああ、想像通り。
可愛くて、最高にエロい。
そっか、俺はこんなカオルの表情が見たかったんだな……。
カオルは、唇を噛み、あえぎ声が漏れでるのを必死に耐えている。
顔を赤くして、息をあらげて、体を小刻みに震わす。
そうだ、その表情……俺がずっと見たかったカオルの最高にエロい表情。
可愛くて、可愛くて、食べてしまいたい。
しばらくして、カオルは唇をキュッと一文字に結び訴えるように俺を見つめた。
そして、首をふる。
「カオル、いきそうなのか?」
恥ずかしそうな顔でコクリと頷いた。
トクン……。
分かった。
今、はっきりと分かった。
俺は、こいつを好き、愛しているんだ。
男とか女とかよくわからないし、そんな事はどうでもいい。
こいつが笑うと、俺も嬉しい。
こいつが悲しんだ顔は、絶対に見たくない。
こいつをそばに置きたい。
そして幸せにしたい。
この思いだけは本物……。
俺は、カオルの肩をぎゅっと抱いた。
そして、頭をそっと撫でた。
「なぁ、カオル。俺、分かったことがある」
「はぁ、はぁ。なっ、なんだよ、急に?」
カオルは、熱い吐息を漏らしながら、潤んだ目で俺を見上げる。
唇に目がいく。
ああ、キス。またしてえなぁ。
ふっ。
俺は、こいつの事、どんだけ好きなんだよ。
「カオル、今度、言うよ。今日は、ガンガン飲もうぜ! 付き合えよ」
「ああ、いいぜ。っていうか、お前、飲みすぎるなよ。弱いんだから」
「ははは。そうだな」
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