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ラーン王国編ープロローグー  春を売る 後編※

「早速しようぜ?俺、しばらくこれなくなるし。」  お互いに浄化をかけて服を脱ぐ。主導権は僕だ。 「どこか遠征?」  首を傾げて、ベッドに座る彼を見上げる。僕は床に跪いて彼の足の間に入り込む。彼のメイルの象徴を手で扱いて勃ち上がらせた。  彼の象徴はメイルとしては普通の部類だ。フィメルより大きく、メイルの中では平均的。たまにすごく大きなメイルもいるけど、受け入れる側は大変だから彼くらいがいい。手で扱き続けると先端から透明な滴が出る。  それをぺろりと舐めた。彼がびくりと震えた。  彼のそれは甘い。悔しいが、僕と彼の魔力の相性は最高なのだ。 「ああ。見習いたちを引率して、岩山ダンジョンへ行く。二週間ほど、王都を留守にする。」  ダンジョン?そんなのがあったのか、この国にも。 「危険なの?」  彼は少し、欲情に浮かされた目で僕を見て、静かに首を横に振った。 「いや?難易度は初級冒険者程度だから、見習いたちのランクより低いだろうと見ている。安全に経験を積ませる実習なのさ。」  彼は肩を竦めておどけて見せた。じゃあ、無事に帰ってくるんだろう。 「そうなんだね。お疲れ様。無事に帰ってきたらサービスするからね?」  彼の象徴を口に入れて吸い上げる。舌で割れ目を刺激すると蜜が溢れる。それを啜って、唇で幹を扱いた。 「…ッ…で、出る…」  口の中に熱い精液が溢れた。他のメイルのは苦くて臭いのに、彼のだけ甘い。それがなんだかむなしくて、泣けてくる。ごくりと飲み込んで、幹を丁寧に舐めて口を離した。  立ち上がって彼を押し倒す。 「今日はサービス。僕に任せて。」  彼の上に跨り、みせつけるように自分のそれを扱いて刺激した。彼が喉を鳴らす音が聞こえ、僕のその行為をじっと見つめた。腰を上下させて、尻で、彼のそれを擦る。  するとたちまち、彼のが勃ち上がった。それを尻の谷間で挟むようにして擦った。 「…あん…おっきくなってる…」  唇を舌で舐めて見せて、熱のある瞳で見つめた。自分の先走りで濡れた指を彼の腹の上に滑らせた。 「リンドの、大きいのちょうだい?」  後ろ手に彼の昂りを握り、その上に腰を下ろす。先端が僕の後孔へと入って来て、顎をあげて目を閉じる。ゆっくりと降ろした腰が彼を全て飲み込んだ。 「は…気持ちいい…」  しばらく彼の大きさに馴染むように動かずにいると、彼のが堅く大きくなるのがわかった。膝立ちになって腰を上下させた。前への刺激で、僕の後孔は濡れてうねっている。  彼の昂りを奥に欲しいと、感じてる。感じるとあとがつらくなるのに、彼の魔力の気持ちよさに僕も気持ちよくなる。 「やばい、めちゃくちゃ、いい…ヴェスナ…」  彼が突き上げてきた。彼の魔力が身体の中に入って来て、快感をもたらす。 「あっ…あんッ…」  僕も、自分の魔力を彼に注いだ。そうすると、すぐに彼は果てて、魔力の塊である精液を吐きだした。  その瞬間びくっと僕は大きく震えて仰け反った。彼の魔力が身の内を巡る感覚に震えて達した。彼の腹の上に撒き散らしてしまう。 「はあ…ヴェスナ…凄かった…」  彼が起き上がると自然に抜けた。そうして僕を抱き込んで寝転がる。今日は朝までコースだった。彼は早いから、充分に寝る時間が取れるのだけど、それでいいのかと思う。  前戯もなにもなしだから僕は疲れはしないけど、今後の彼の未来の恋人に悪い気がした。  たまたま最初の相手が、魔力の相性がいい相手だなんて。  きっと彼は比べてしまう。  彼が結婚できなかったら僕のせいかもしれない。  あれから二週間以上たった。まだ、彼は来ない。少し、心配になる。  彼は、将来有望な騎士だと噂されているから、こんな心配は杞憂だと思うけど。  お昼を食べたすぐあとくらいか。悪寒が背中を走った。  なんだ、これ…。恐怖がせり上がって来て自分を己の腕で抱きしめた。 「どうしました?ヴェスナ様…」  見習いが僕の様子の変化に心配そうに声をかけてくる。 「いや、何でも…」  思わず立ち上がって窓の外を見た。北の方からこっちに向かってくる、恐ろしい魔力。何か魔物が来るのだろうか?  それは王都に入って来て、城の方へ向っていった。  こんな魔力は、感じたことがない。遠くにいるのに、圧倒的な力を感じるなんて。  何か、起こるのだろうか。  そんな予感は当たらずに、それから数日後、娼館から出られる日があって、護衛と一緒に買い物に出た。  世話になった魔術師が配置換えになるから、贈り物をしようと出てきたのだった。  雑貨店への道を歩いていると、帯剣をしたリンドがいた。隣には金髪の、少年がいた。  その少年を見た瞬間、数日前の悪寒がぶり返した。  あの子、あの子だ。いや違う、あの子を覆っている、虹色の魔力だ。あれが怖い。あんなに大量の魔力。あの子の魔力は、透明だ。その魔力は一筋、魔の森の方へと延びていた。多分、そっちの方に虹色の魔力の持ち主がいるのだろう。怖いくらいの執着だった。 「あれ、ヴェスナ。珍しいな。」  声を掛けられてしまった。もう、娼人にホイホイ声かける騎士って、いないよ! 「こんにちは。お久しぶりです。もう帰ってらっしゃったんですか?」  隣にいる少年が会釈して、自分とリンドを見比べた。 「ああ、こいつがダンジョンで罠にかかってさ。ちょっと帰還が遅れたんだ。」  そうリンドが言うと、むっとした顔を少年がした。ああ、この少年の魔力ではないのに、恐ろしさに身体が竦む。 「無事でよかったじゃないですか。」  罠にかかったのが彼じゃなくてよかったと安堵している自分がいた。 「ああ。誰も欠けなかったしな。」  にこにこした顔で、ぐしゃぐしゃと隣の少年の髪を乱す彼に、何故か、胸が痛んだ。 「先を急ぎますので。では。」  特定の客と親しくするのは推奨されない。身請けするような、裕福な客ならいざ知らず。  護衛は見張りでもある。立ち去らなければと自分を叱咤する。 「ああ、またな!」  明るい声にますます胸が苦しくなった。魔術師への贈り物を選んでいても、二人の姿が浮かんで来て、集中できなかった。  それでもその贈り物は魔術師の彼に喜んでもらえた。王都から出て、辺境勤めになると言っていたから、もう会えないだろう。彼の魔法の講義は面白かった。本当は高いお金を払わなければ教えてもらえないことをたくさん学んだ。彼は教えるのが楽しいと言ってさえくれた。  彼のような人を好きになればよかった。だけど…。 「ようヴェスナ。来たぜ!」  街で会ってから1週間後に彼はまたやってきた。遠征の後始末に忙しかったんだそうだ。 「娼館ばっかりきたら、恋人ができないよ?わかってる?」  心配になって思わず忠告すると、困ったような顔して、彼は笑って誤魔化すばかりだった。  そして、彼はずっと、僕のお得意さんだった。  この先十年以上も。

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