55 / 71

ラーン王国編ー正騎士へー ハッピーバースデー ※

「俺の誕生日?…1月1日」  ヒューが誕生日を聞いてきた。新年を迎えた日、それが俺の誕生日だ。 「ヒューは?」  抱きしめられてキスが落ちる。吐息とともにヒューが答えた。 「俺?俺は3月3日。」  2か月違いか。数字が並んでいるところは同じで嬉しくなる。 「誕生日、二人で祝おう。」  優しい目が俺を見つめる。その目に見惚れた。 「うん。ここを出たら早く会いに来て?」 「もちろんだ。」  首筋にキスが落ちて、そこからヒューの魔力が入ってくる。そのうち胸やお腹にもキスが散った。そこが赤く染まってヒューが愛してくれた証拠に思えてすごく嬉しい。だんだんと快感がこみあげて、前が勃ち上がった。 「感じてる?嬉しいな……」  上からパサリと、ヒューの長い髪が落ちてくる。その髪に指を絡ませて見上げた。ヒューの嬉しそうな顔を見て胸がきゅっと締め付けられた。 「うん……気持ち、イイ……」  俺の声はもう掠れて、上擦る。ヒューの手が俺の象徴を握ってそっと扱いた。それだけで、達してしまいそうになる。でも俺は、ヒューの太くて長いアレが奥に欲しくて腰をもぞりとよじった。  奥が熱い。 「……あん……ヒュー……太いの、欲しい……」  ヒューの手がピクリと震えて止まった。ヒューの背に手を伸ばして引き寄せた。 「早く、奥にいっぱい、熱いの……ちょうだい……」  ごくりと喉を鳴らす音が聞こえて、腰が持ち上げられて、熱い先端が後孔に宛てられた。ひくりと襞が戦慄いてその先端を咥えこむ。 「は、メルト……挿れるぞ……」  掠れた声でそうヒューは言うとぐっと太い幹が入ってきた。 「……あっ……」  その大きさに仰け反る。入ったら、馴染むのに入ってくるときは息が詰まるほどきつい。 「大丈夫か?」  心配そうな声に首を縦に振る。 「……大丈夫。気持ちいい……」  背を抱く手に力を籠めると自分から腰を押し付けた。ググっと奥に入ってきて、俺のイイところに当たった。 「……あっ……んっ……」  思わず締め付けてしまうと大きくなったようだった。 「……は。めちゃくちゃ気持ちいい……」  ぐっと勢いよく突き入れられてすべて収まった。ヒューはしばらく動かずに俺を抱きしめた。 「ヒューの奥まで入ってる……嬉しい……」  俺が微笑むと、ヒューが息を飲む。とたんに腰が動いて激しく揺さぶられた。 「…あん…あっ…あっ…」  揺さぶられるたびに声が出てしまう。ヒューの先走りも中に注がれて、奥が熱くなる。  気持ちよくて何も考えられなくなる。 「あ、も……イく……あん…ああああぁーーっ……」  奥に熱いモノを感じながら俺は果てたのだった。  それはダンジョンを出る日も近い、ある晩のことだった。  新年で久しぶりに家族にプレゼントをもらったその晩、俺は夢を見た。  起きると忘れてしまう、あの夢だ。  ヒューは二人で誕生日を祝おうと言ってくれたのに、俺は一人だ。 『嘘つき。迎えに来てくれるって言ったのに。』  悲しくなって蹲る。虹色の夢の空間でも、俺は一人だ。 『ヒュー、会いたい…会いたいのに。』  どうして来ないの? 『メルト!』  声が聞こえた。懐かしい声。 『ヒュー?』  顔を上げると抱きしめられた。 『ごめん。会いに行かれなくて。』  ぎゅうぎゅうと抱きしめられて苦しくなる。でも、嬉しい。 『誕生日、おめでとう。』  じわっと涙が滲んだ。 『ありがとう……』  目尻にキスが落ちる。誕生日に会えた。それだけでも嬉しい。 『今はプレゼント渡せないけど、会ったらいっぱい渡すから。』  俺は首を横に振った。 『ヒューと一緒にいられれば、何もいらない。』  ヒューは目を見開いてから優しい目で俺を見て、口付けた。 『……んっ……』  魔力が入ってくる。気持ちいい。ヒューのキスはいつでも気持ちがいい。  いつの間にかベッドに移動していて、俺達は抱き合ってた。  ヒューの膝の上に乗って、唇を離すとヒューを見た。 『ヒュー、好き。』  嬉しそうに見つめるヒューのその顔も好き。  これは夢なのか、それとも本当に会っているのか、わからないけれど、ここにいるヒューは本物に思えた。 『メルト、俺も好き。愛してる。』  顔が近づいてまたキスをした。お互い貪りあうキスに、股間が熱くなる。  俺のそれにヒューの大きいのが触れた。下を見るとすっかり勃ち上がって先端が濡れていた。  俺を欲しがってくれているのがわかって、嬉しくなった。  その熱い幹に俺自身を擦りつけた。すぐにヒューの昂りは硬くなってますます大きくなる。 『メルト、すぐ、中に入りたい。』  欲情の色濃い瞳で見つめられて背中が震えた。 『うん。俺もヒューのが奥に欲しい。』  奥はすでに熱くなって濡れている。俺は腰を上げてヒューが挿入しやすくした。  先端が宛てられてぐっと突き上げて中に潜り込んでくる。  ああ。ヒューのだ。  繋がっている。ヒューと。 『メルト、泣かないで。』  俺は首を振る。 『ヒューと繋がっているから。嬉しくて。』  ヒューは目を細めて涙を舌で拭い取ってくれた。 『俺も、嬉しい。メルトと繋がれて。』  嬉しい。ヒューも同じ気持ちだ。  ゆっくりと揺さぶられて、腰が落ちた。  自分の体重でヒューを奥まで飲み込む。先端が奥まで入って、その感覚に仰け反った。 『あん……奥まで……』  自分の声が甘さを含んだのがわかった。 『ああ、奥までだ。このままずっと繋がっていたいな……』  熱い吐息を耳元で漏らしながら囁くヒューに項が震えた。 『うん。ずっとずっとこうしていたい。』  無理だと心の奥底で分かっているのに願ってしまう。 『ああ……メルト……』  ヒューの声が切なさを滲ませた。俺を抱きしめる手に力が籠った。そして大きく揺さぶられた。  俺は上下に揺さぶられるのに合わせて自分でも腰を上下させた。中はうねってヒューを締め付ける。  中を擦りあげられるたびに、俺の昂りは硬く大きくなった。 『……あん…あっ…あっ…』 『メルト…メルト…』  激しく突き上げられて、ヒューの太い部分が俺の感じるところを何度も刺激した。  その度に目の前が白くなって快感が体中を駆け巡った。 『ダメ、…イく…あん…イっちゃう、…あああーーーーっ……』  きゅうきゅうとヒューをきつく締め付けて俺は果てた。  すぐ後にヒューも達して、奥にヒューの子種を感じた。  それから俺達は何度も愛し合って、俺は最後に気を失ってしまった。 (せっかくヒューに会えたのに。もう、会えないかもしれないのに)  そう心のどこかで思いながら。 「メルト―起きておいで。ご飯だよー」  ハディーの声で意識が浮上する。  起き上がって、手に何か握っているのに気付いた。  守護のペンダントだ。  なぜか、首にかけてきてしまってたのを夜外して、手に持ったまま寝てしまったらしい。  それを胸元で握りしめる。  あのダンジョンから生還して俺が身に着けていたものの一つ。  握っているとあったかく感じて、それをまた首にかけて、着替えて階下に降りて行った。 「起きた!すぐ行くよ。」  なぜだか、嬉しいような、悲しいような、そんな気持ちで。

ともだちにシェアしよう!