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第20話 身を焦がす
あれから一日眠って、草太の風邪はなんとか回復した。見ておいてくれと言ったのにベッドで眠っていた焔次に怒ったりしたが、それ以降、三人の関係はまた元に戻った。
それから、数日が経った。
今日も清隆は,焔次の家にいた。
ベッドで目が覚めたが、周りには誰もいなかった。
昨日、清隆はいつも通り焔次に呼び出され、行為の後疲れて眠ってしまったのだ。
清隆はもそもそと起き上がってキッチンに行った。時間は昼に近いが、朝から、なにも食べていなかったからお腹が空いたのだ。
「清隆、ごはん食べる?」
キッチンには草太がいて、清隆が入るとそう聞いた。
「もらっていい?ありがとう。草太」
清隆は嬉しそうに答えた。
気のせいかもしれないが、草太が最近優しくなった。こんな風に話しかけてくれるなんて、珍しい。
しばらくするとテーブルに草太の料理が並んだ。
もうすでに作られたものばかりで、温めただけだけど料理はいつも通りに美味しかった。
草太はリビングで、なにかの課題をしているようだ。料理を堪能したあと、清隆は草太のところに行った。
「草太。風邪もう大丈夫?」
清隆は聞く。
熱は下がったとはいえ、草太は相当無理をしていた。油断できない。
元々草太はバイトを掛け持ちして、さらには奨学金をもらっていたから、授業もあまり休めなかったそうだ。
そんな状況で、さらに焔次の呼び出しにも応じていたのだ、体を壊しても仕方がない。
焔次は約束した通り、草太に払わせていた分を返し、お金を払わせる事も、もうなくなった。文句は言っていたが、焔次は料理の材料費も払っているようだ。
その甲斐あって、落ち着いたのか今は草太の顔色もいい。
草太はバイトも少し減らしたみたいで、会える時間が増えた。まあ、その分焔次とも会うことになるので、最近は焔次の家にいることの方が多くなってしまったのだが。
「風邪はとっくに治ったよ」
草太は課題をしながら言った。
「良かった……あ、コーヒー飲む?」
清隆はそう言って、草太の横にコーヒーを置いた。
「ああ、ありがとう」
「いや、こっちこそごはんありがとう。今日も、美味しかったよ」
清隆はそう言って、さりげなく草太の隣に座った。
草太はちらりと清隆を見たが、その事には特に何も言わなかった。
清隆もコーヒーを飲む。静かだなと思っていて、清隆はふと思い出した。
「そういえば不知火は?」
珍しく起きてからずっと静かだった。焔次は暇があればやたらと清隆にかまおうとするのだ。
清隆は焔次に好きだと言われた事を思い出す。驚いたがあれから結局、何も言っていない。
そう言われても、焔次の気持に答える事は出来ないし、気持は決まっている。
だから、黙っていたら焔次も何も言わなかった。そうして、いつの間にか時間が経って有耶無耶になってしまった。
「焔次くんは、なんか買い物に行くって言ってたよ」
草太は思い出すような表情で言った。
「そっか……」
清隆は何気ない感じで頷いたが、草太と二人っきりという状況に少し嬉しくなる。清隆はそれを誤魔化しながらコーヒーを飲一口飲んだ。
草太は優しいし手料理も食べられて、今日は運がいい。
草太は気が付いていないようで、すぐに課題に戻った。
清隆は、草太が課題をしていることをいいことに、こっそり草太の横顔を眺める。
窓の外から光がさして、草太の白い肌が白さを増して見えた。
草太は前髪を長いから、相変わらず表情はあまり見えない。でも清隆は知っている、実は草太はよく見ると整った可愛らしい容姿をしている。
陶器のような白い肌にさくらんぼのような赤い唇。草太が聞いたら嫌がるかもしれないが酔って介抱してもらった朝、草太を女の子と見間違えたのはこの所為だ。
朝日に照らされた草太はとても綺麗で可愛くて、光って見えた。
今から思うと、完全に一目惚れだった。
そんなことを考えていた清隆は、草太の顔が見たくて草太の前髪を指でかきわける。
すると、くりくりとした黒目がちの瞳がこちらを見た。
「なに?」
「いや、今日も可愛いなって思って」
そう言うと草太は微妙な顔になる。
「清隆は変な奴だと思ったけど。やっぱり、本格的に頭おかしいよね」
「ええ?酷くない?」
ストレートな言いように清隆は悲しそうに眉を下げる。
「前も言ったけど、僕に何されたかもう忘れたの?それに散々構わないでって言ったのに執念く構ってくるし」
「ああ……まあ」
改めてそう言われると確かにそうだ。言われた時の事を思い出すとまだ辛い。それでも時間が経つとまた草太に会いたくなるのだ。
「本当に趣味が悪いよね」
「……趣味が悪いのは認める。だけど、趣味が悪いのは草太も一緒だと思う」
清隆は思わず、唇を尖らせながら言った。草太だって焔次に色々酷い扱いを受けているのにいまだに焔次のいいなりだ。あんなやつのどこがいいのか、未だに分からない。
草太はまたちょっと微妙な顔をする。
「そんな……ことない……」
草太も心当たりがあるのか、歯切れ悪い感じで否定した。
「いや、本当に趣味が悪いよ。早くあんな奴とは縁を切って、俺と付き合おうよ」
「本当に、懲りないな……」
草太は呆れた顔をしながらも可笑しそうに笑った。
最近、草太が笑いかけてくれることも無くなっていたから、笑顔を見るのも久しぶりだった。
そして、その笑顔があんまりにも可愛くて、清隆は思わず草太にキスをする。
「っちょ、なに?急に……」
「ええっと、ごめん……」
衝動的にしてしまって口ごもる。また怒られるかと思ったが草太はちょっと困った顔で苦笑して言った。
「まあ、今更だしいいけどね」
確かに今までも何回もしているし、三人でする時はそれ以上のこともしている。
部屋の空気は穏やかで、焔次の家が高いところにあるせいか、爽やかな風も吹いてきた。
二人っきりで、こんなに普通に話せる事があるなんて思わなかった。
清隆は、草太が嫌がっていないのをいいことに、もう一度キスをする。
キスはさっきより長くなった。
柔らかく、赤く熟れたりんごのような唇は何度キスをしてもしたりない。
「ん……」
もう一度、もう一度と思っていると、どんどんキスは深くなっていく。
清隆は手を草太の首に回し引き寄せ、抱きしめる。
首を傾け唇を食み舌を歯列に這わせると、舌を入れ込んだ。
草太は少し困った顔をしたが、やっぱり拒まずされるがまま。
しかも、吐息のような声を出すから、それで清隆はさらに止まらなくなってしまう。
テーブルがガタンと鳴って、ペンが落ちる音がする。
気がついたら、清隆は草太を床に押し倒していた。
清隆は初めてデートした後、ここで草太を押し倒したのを思い出す。あの時は焔次が急に入って来て無茶苦茶になってしまったが、何だかあの続きみたいだと頭の端で思った。
部屋には荒い息遣いが響き淫靡な空気が流れる。
清隆は自分の体が、どんどん熱くなっていくのを感じた。
「もう……苦し……」
「……草太」
草太は苦しそうに清隆を押し離す、離れるとトロリと唾液が糸を引いた。白い肌がほんのり赤く、草太は息が荒くなっている。
唇は唾液で光っていてショートケーキみたいに美味しそうだ。
清隆は草太が苦しそうなのはわかっていたが、清隆は抵抗出来ないように腕を押さえて、さらに覆いかぶさりキスをする。
小さな口に舌をいれこみ中を探る、ゾロリと上顎をなぞると草太の声に艶が混ざった。
「ぅん……あ……」
「草太、可愛い……草太」
草太の声は誘うように艶めかしい。
頭の中がいやらしいことでいっぱいになる。もっと触りたい、もっと草太と深いところで繋がりたい。
首筋にキスをしながら、清隆は草太の腕を押さえつけていた腕を離し体に這わせた。
草太の体がそれだけで敏感に震える。
Tシャツをめくるとぷくりと膨らんだ桃色のポッチが顔をのぞかせた。
清隆はゾロリと舌で転がすようになぶる。それは唇と同様、果実のように甘く感じて思わず吸い付く。
同時に反対の乳首も探る。しつこいくらいにそこを探るとそこは次第にしこりが出来て固くなっていく。
「んん……ん……」
「草太、ここ気持ちいいんだ」
白かった肌がほんのりピンク色に染まって、草太の声にも甘いものが混じる。
清隆は舌をそのまま下の方に移動させ、ズボンをくつろげた。
「……なに?そんな事までするの?」
流石に、草太は眉をひそめた。
「ダメ?」
自分もまさか最初はここまでするなんて考えてなかった。あわよくばととは思っていたけど。
だけど、好きだって言っている男と二人っきりで、ここまでさせておいてそんな事を言うなんて狡い。
草太は少し迷った表情で口を開く。
「まあ、別にいいけど……」
「え?いいの?……」
意外で聞き返す。
嫌いとまで言われていたし、流石にここまでかもと思っていた。
「僕も一応男だし、性欲は普通にあるしね。それに風邪引いた時バイト変わってくれたのは本当助かったし」
草太はそう言って頬を火照らせたまま「それのお礼かな?あと、セックスは嫌いじゃないし」といって唇を舐める。
その色っぽい表情に清隆は少し怒りが湧く。
「草太。酷い……俺のことからかってる?」
「ふふ、なにそれ?」
草太が目を細めて笑う。
清隆はもう我慢が出来なくて自分もズボンをくつろげる。中心はとっくに固くなっている。
みっともなく先走りが溢れて、あてがった草太の入り口は擦り付けるとトロトロと濡れる。グチグチと擦り付けるとそこは昨日したところだと言うこともあって、簡単に清隆を受け入れる。
「今までもそんな風にして誰かとしてたの?俺の事好きじゃないくせに、そんな事言うなんて狡い」
草太の言い方は今までも、焔次以外にもきっと相手がいたのだと言うことがわかる。自分だって過去に彼女がいたことがあるのに、そのことが悔しくて腹が立つ。
「今更じゃない?それにセックスくらい好きじゃなくても出来るしね。そこそこ気持ちよくなれる。でも……」
草太はそう言ってするりと脚を上げ、清隆の脚をするりと撫でた。
「っ……でも?」
「好きな人意外はみんな同じだ……」
草太は少し遠い目をしてそう言った。草太が誰の事を頭に思い描いているのかわかって胸がまた苦しくなる。
「本当、酷い……」
「っ……あん!」
清隆は草太の腰を掴み、一気に腰を奥まで挿入した。昨日、三人でした名残か性急な動きにも関わらず草太のそこは柔らかく清隆を受け入れる。
気持ち良さに清隆は間髪入れずにガツガツと腰を動かす。
「……草太っ」
「っあ!……っあ……やぁ、激し……んあ……」
草太は眉毛を八の字にして激しい動きに身悶える。生理的な涙なのかジワリと潤んだ瞳は綺麗で、溢れる言葉は淫靡でそれだけで清隆を煽った。
草太は嫌々というように首を振り目を瞑る。
「草太……草太……こっち見て……」
「う、うん?……なに?……っあ」
清隆は無理矢理草太をこちらに向かせ、かぶりつくようにキスをする。脚を肩に抱えるようにして更に奥まで入った。奥はまだきつくてぎゅっと清隆を締め付けたる。
そうすると、草太はまたポロポロと涙をこぼす。
優しくしたいのにもっと酷いことして泣かせてみたいという欲求が湧き上がる。
ぐちゃぐちゃに犯して焔次の事なんて忘れさせてしまいたい。
「俺の事だけ見て。今だけでいいから……草太……」
「清隆……っあ、ああ」
草太と繋がったところはみっちりと隙間なく清隆の物で埋まっている。激しく出し入れするとその度に内壁がめくれていやらしい。
もっとめちゃくちゃにかき回したかったけど、もうそろそろ限界が近い。
「いくよ」
ずるりと限界まで引き抜くと、一気に奥まで叩き込む。
「っあ!!」
その途端、草太の体はその途端びくりと震え中を締め付ける。締め付けは限界だった清隆を刺激してゾクゾクとしたものが上がってきた。
「っ……く」
草太の中心からはとろりと白い物が出て、ビクビクと震える。ウルウルと溢れそうな草太の瞳がぼんやりとした表情でこちらを向く。
ずっとこうしていたい。もしできるなら無理矢理連れ去って、どこかに閉じ込められたらいいのに。と仄暗い考えがよぎる。
清隆はそんな事を考えながら、草太の中に熱を吐き出す。
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