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第10話

「愛し合っているんだから、言うこと聞いてくれて当然ですよね。ピアス、開けるのが楽しみです」 「ん、あッ――!?」  どさっと勢いよくベッドに押し倒されて葵が驚いている間に、硬い楔で奥まで貫かれてしまった。性急な行為と智紀のペニスの質量に悲鳴をあげそうになったが、唇を噛んでそれに耐える。  愛する男に聞かせるなら、情けない悲鳴よりも甘い嬌声がいい。快楽のために泣きそうな顔も、感じすぎてとろけてしまった顔の方がずっといいだろう。葵は本能でそう感じ、自然に溢れてきた涙も必死に拭おうとした。しかし、その手を掴まれベッドに縫いとめられてしまい、始まった力強いピストンに涙はこぼれ落ちていった。 「っ……感じると、泣いちゃうんですね。可愛いな…ッ、もっと、もっと、泣かせてあげたい」  追い詰めるような腰の動きに、汗を浮かべる智紀の顔が涙のせいでぼやけてしまう。雄の本能に突き動かされる智紀の顔を見たいのに、涙が邪魔だ。  突き上げられ、抉られ、身体の中から智紀の色に染められていく。  壊れるまで愛されたい。智紀になら、この身のすべてを捧げられる。 「んはっ……あ、ああッ……だいすき…とも、き、くんっ……! も、っと、奥まで……壊してぇ……っ!!」  快楽に負けた葵の艶っぽい声が大きく部屋に響いた。陶器のように白く滑らかな足を智紀の身体に巻きつけ、ぐっと引き寄せて奥へと導く。好色と罵られても言い返す言葉もない。それほどに葵は智紀の前に淫らな自分を曝け出していた。

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