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「篠」窘める声。
「すみません」と謝るのが聞こえた。分からないわけがなかった。ふたりの男は腹の奥にナニかが入っているのだと勘づいている。
肉を割って、谷を液体が流れていく感触が酷く気持ち悪い。
親指がぐ、ぐ、と窄まりを押し込み動くたびに言いようのない甘い痺れが走った。
「……これなら大丈夫そうですね」
大丈夫なわけあるか。抗議の声は喉奥に呑み込まれた。
ずぷ、と粘着質な音を立てながら沈んでいく指に背筋が震えた。
「はは、借りてきた猫みたいに大人しくなったな」
内壁を擦りながら、ぐにぐにと中を広げ、突き進んでいく指が気持ち悪くて、キモチよかった。
肩を震わせ、斎にしがみつく。甘い香りのする男に抱き付き、その胸に顔を埋めていなければちょっとしたことで声が溢れてしまいそうだ。
「すごく熱いですね。ナカがうねって、奥へ奥へと誘うように動いていますよ」
「猫じゃなくてネコだったわけか」
「面白くないダジャレはやめてくださいよ……暇なんだったら、前でも弄ってあげたらどうですか。後ろだけ、っていうのもキツイでしょう」
やはり、その声色からは温度と言うものを感じなかった。
すぐそこで、色男が喉で嗤った音が聞こえる。
「やめ、」
ゆっくりと、焦らすように伸ばされた手がユウの性器を包み込んだ。
「なんだ、半分起ってるじゃないか」
「うるさ、ひ、ぐ、ぅあ、ッ」
輪っかを作って、上下に扱かれるだけでそれは硬さを増していき、後ろの違和感なんて気にならなくなっていた。とぷとぷと粘り気の強い液体が先っぽから溢れた。
「キモチいいか?」
「んっ、ふ、…んなわけ、ぁるかっ」
「にしちゃぁアンアン言ってるじゃねぇか」
揶揄う言葉に唇を噛み締めた。
「あ」こつん、と。
大げさなまでに肩が跳ねあがった。こつん、こつん、と柔く、緩く奥を叩かれている。
「なんかあったか?」
「おそらくローターでしょうね。遠隔操作タイプの奴。……かなり奥まで入ってますね。ユウ君、ちょっとだけ我慢だよ」
「え、あ、ァ! うそ、ま、ぇあ」
ずるっ、と指が抜かれたかと思うと、あのひんやりと冷たいローションを注ぎ足され、無遠慮に肉を開きながら指が入ってきた。一本じゃない。二本だ。泳ぐように内壁をこすって、こつん、とまた叩かれた。
「あ、あ、や、んん、ッふ、ァア!」
「捕まえた。あとちょっとだよ」
「ひぃ、ん、ふっ」
ぐちぐち、とローションを奥へと抽挿するように指が動いて、位置を変えたローターがしこりを押し潰しながら掻き出される。
違和感を紛らわせるために前を扱く手はだんだんと強く早くなり、時折悪戯に鈴口を爪先抉る。
性に淡泊で、めったに自慰もしないユウには過ぎた快感だった。――堪らなく、キモチがイイ。
「あっ、お、…ァ~~~ッ」
こぷっ。柔く揉まれた菊座から丸くつるりと、ローションや体液に塗れたローターが出てきたのと同時にくたりと体が弛緩して斎の胸にもたれかかる。腹部の濡れる感触と、どろりと尻の中から溢れてくる液体。
「いっぱい出たな。溜まってたのか?」
「それはいけませんね。あまり溜め過ぎるのもよくないといいますから」
他人事のような会話を聞きながら、体力の限界だったユウはぐったりと斎に体を預けて目を瞑った。
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