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極道とウサギの甘いその後3−9

「そういえば、竜次郎はご飯食べた?」  無事家に戻り、玄関でパンプスを脱ぎながら、夕食を摂っていなかったことに気が付いた。 「いや……まだだ」 「そっか。じゃあ何か作ろうかな」  食材は普段は日守に頼んで、屋敷で男達が食べる分と一緒に買ってもらうことになっている。  気付くと補充されているのだが、その中にさりげなく日持ちのきく乾麺や冷凍の野菜など簡単に調理のできるものが紛れていることがあり、それはきっと日守の気遣いなのだろうと思う。  今日の夕食は食べて戻る予定だったので食材を頼んではいないが、何かそういったものはあるだろう。  見当をつけ、台所に立つ前にひとまず借りた服を着替えようと、二階に向かおうとした湊の腕を竜次郎が掴んだ。 「竜次郎……?」  ちょっと来いと連行されたのは台所で、解放されたのは流し台の前だ。 「どうしたの?そんなにお腹空いて……んぅ」  問いかけの途中で唐突に顎を捉えられ、食いつくように唇を塞がれて、目を見開いた。  押し入ってきた厚い舌に口蓋をぞろりと舐られ、犯すように深く貪られると力が抜けてしまい、回された腕に縋りつく。 「んっ……んん……あ、……、りゅ…、りゅうじろう……?」  突然どうしたんだろうと不思議に思い、口を離して見上げると、竜次郎は湊の口端を親指で拭いながら苦笑した。 「八重崎の奴に乗せられたみたいで癪だが、折角だからやっとくかと思ってな」 「あ……、『湊の女装が見られてラッキー☆今夜は燃えるぜ』?」  八重崎の言葉をそのままなぞると竜次郎はとても嫌そうな顔になった。 「それはやめろ。萎える」  向きを変えられ、流しのふちに手をつくように促されて、消せない懸念に「でも」と振り返る。 「服、汚れちゃったら……。借り物なのに」 「別に返せとか言われねえだろ。気になるなら俺が奴から買い取ってやるよ」 「そ、そういうことじゃ……」  竜次郎は何も気にした様子はなく、スカートの中に手を突っ込んだ。 「あっ」  下着の上から握りこまれて、びくんと体を揺らした。  感触を確かめるようにそこを探られると、容易に息が上がってしまう。 「こっちは女物じゃねえのか」 「う、ん……っ、や、やだった……?」  竜次郎はもっと本格的な女装を期待していたのだろうかと申し訳ない気持ちになるが、それはすぐに否定された。 「なわけねえだろ。中身がお前なら何でも興奮する」 「何でも、は……広いね、……あっ!…あ…!」  取り出されたものを大きな手にきゅっと扱かれる。根元の方を擦りながら人差し指で先端をくすぐられると腰が揺れてしまう。  流しのふちを縋るように強く握り襲ってくる快感に耐えるが、次第に竜次郎の方へ突き出すようになってしまう尻に、硬くなったものを擦りつけられて、膝が砕けた。 「っと……ちゃんと掴まってろよ」  へたり込みそうになった態勢をすかさず直される。 「う……力、抜けちゃう……」  行為自体には何の不満もなく、竜次郎の望むままに求めてもらうことは湊の喜びでもあるのだが、思うとおりに応えられるかはまた別問題である。  せめて床で……と訴えてみたが、背後を陣取る男が聞き入れてくれる様子はない。  それどころか。 「関わるなっつったのにこんな格好してクラブなんかに出かけて行ったからな。お仕置きだ」  え……、と驚いて振り返ると、竜次郎はニヤリと不穏に唇の端を上げた。

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